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メインストリートアプローチのキーポイント

今回はイントロダクションの第3回目。
前回はメインストリートセンターが開設された背景について説明しました。今回はメインストリートアプローチのキーポイントについて説明します。
それでは解説を始めます。本文を黒字、解説を青字で書きます。

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メインストリートアプローチ
メインストリートアプローチには4つのポイントがある。
メインストリートでは、これを「フォーポイントアプローチ」と呼んでいる。たびたび出てくるキーワードである。

■デザイン:
デザインとは中心市街地のイメージを改善すること。すなわち、物理的な改善。建物の外装、街灯、ウインドディスプレー、駐車場、看板、歩道、販売促進の道具、そのほか中心市街地に関する物理的なイメージを改善することである。
デザインという言葉は日本語訳がなかなか難しい。芸術的なデザインという意味もあるが、むしろ日本語の「計画」という言葉に近い。政策を立案する場合にもデザインという言葉が用いられる。ここでは、ダウンタウンのイメージを改善するためのハード部分の計画全般を含む。

■組織化:
組織化とは、中心市街地を再活性化するためのメインストリートプログラムを推進する組織作りや、再活性化に関わりのある様々な組織・団体の合意を形成したり、協力関係を構築したりすることを意味している。地域社会においてたくさんの個人あるいは団体が中心市街地における経済的な利害関係を持つ。以下がある。
・ 銀行
・ 不動産所有者
・ 市および郡
・ 商業者
・ 中心市街地住民
・ 専門家
・ 商工会議所(商工関連代表組織)
・ 地域工業者
・ 市民グループ
・ 歴史的社会組織
・ 学校
・ 消費者
・ 不動産業者
・ 地域メディア

中心市街地の活性化には様々な組織や個人が関係している。メインストリートプログラムを推進するためには、それぞれがこの活動に参加することが必要だとしており、メインストリート組織はこれらの人々によって構成されている。日本流には、事業を行う区域の権利者や商業者・事業経営者を想定しがちだが、そのような概念ではない。直接的な権利を持つ、持たないに関係なく、中心市街地の活性化に関わりのある優れた人物が組織に加わり、組織運営を行う。


■プロモーション:
プロモーションは中心市街地のユニークな特徴を商業者、投資家、起業家、旅行者などに売り込むための活動を意味する。効果的なプロモーションは中心市街地の積極的な印象を作り出す。小売業の販促活動やスペシャルイベント、地区の積極的な認識を構築するために継続して行われるプログラムなどである。

■エコノミック・リストラクチャリング(経済再生):
エコノミック・リストラクチャリングは現況の中心市街地の経済的基盤を多様化させ、強化させることである。経済再生活動は現況の中心市街地のビジネスを拡張する手助けや、バランスの取れた商業地となるように新しいビジネスをリクルートしたりすること、使い古されたスペース(建物の床)を生産性のある資産にコンバートしたりすること、また、中心市街地商業者の競争力を高めたりすることである。地域社会が継続的に歴史的商業建築の再利用やユニークな地域資産を保護するためには、中心市街地の経済力の強化が必要なのである。

日本流には、中心市街地の再活性化というと小売商業の活性化を中心に考えがちである。しかし、メインストリートの経済再生はもう少し幅の広い領域を対象としている。
確かに、メインストリートプログラムでもその中心は小売商業にある。しかし、小売商業を再生するためには、地域の総合的な経済の活性化が必要という考えに立っており、各産業界との連携や町おこしと中心市街地との関連を重視している。具体的には市場調査とそれに基づく活性化戦略づくりである。

メインストリートアプローチを成功させる鍵はその包括性にある。以上の4つの分野を現実の中心市街地のマネージメント戦略に総合化することにより、メインストリートアプローチは中心市街地の経済的基盤の変化を促し、歴史的商業建築物を生産性のあるものに再生し、経済的な現実性を作り出すのである。

メインストリートプログラムでは、「中心市街地の再活性化とは、以上の4つの分野デザイン、組織、プロポーション、経済再生を包括的に行うことである」と定義している。確かに、我が国の中心市街地活性化の取り組みを見ても、この4つは中心市街地活性化の鍵だと思われる。
我が国流に言えば、「デザイン」は都市計画・市街地整備関連。「組織」は、TMOや中心市街地活性化協議会。「プロモーション」はイベント活動。「経済再生」は商店街近代化計画等で取り上げられてきた内容である。
我が国においても、この4つは積極的に取り組まれてきていることだと思う。しかし、包括的に、同時並行するように取り組まれてきたか、と考えると多少否定的にならざるを得ない。
さて、メインストリートプログラムでは上記のフォーポイントアプローチに加えて以下の8原則を掲げている。


メインストリートアプローチには以下の8つの原則がある。

1 メインストリートアプローチは中心市街地活性化に向けての包括的アプローチである。
過去に行われてきた多くの中心市街地活性化戦略とは異なり、メインストリートアプローチは包括的であり、行わなければならないすべての分野に対して向けられている。活性化の一局面、デザインはほとんどの中心市街地プログラムによって対処されてきた。中心市街地の建物のファサードをアルミニュームの覆いでカバーし、偽の歴史的テーマ性を人工的に作り出したり、デベロッパーに関心を持ってもらうために何か新たなものを建築するために中心市街地の一部を更地化したりするなどである。
デザインを改良するだけでは意味のある変化をもたらすことはできない。効果的なPR、力強い組織基盤、しっかりとした経済的開発戦略など、中心市街地に苦渋をもたらす衰退のサイクルを覆し、保存活動を維持するためには、フォーポイントアプローチのすべてが必要なのである。

2 メインストリートアプローチは質を大切にしている。
中心市街地の建築物は地域の歴史を物語っている。伝統的商業建築物は前世代が地域に感じてきたプライドを反映している。それらの建築物は、今日では模倣できない建築、技術、スタイルにおいて質を具象化しており、ショッピングセンターが決してまねできないものである。その商業建築やそのビジネスによって提供されてきたサービスに含まれている質は中心市街地の商業地としての特徴を作り出し、たくさんのマーケッティングの利点を与えている。ローカルメインストリートプログラムによって行われるプロジェクトは中心市街地の特別な特徴を強化するハイレベルの質を反映すものである。

3 有意義で長期間の中心市街地活性化を可能にするために公民のパートナーシップが、必要である。
中心市街地の活性化を成功させるために、公共と民間が一体とならねばならない。単独では変化をもたらすことはできないのである。それぞれの主体が最も効率的に仕事をする独自の技術と特別の分野を備えている。それぞれのグループの能力を結合することで、活性化を現実のものとするために必要なすべての技術をまとめることができるのである。

4 メインストリートプログラムは意識の変化を取り込んでいる。
近年数十年間でおこった中心市街地の商業地で経験した経済的変化により、商業者や投資家は経済的活力を回復する力が中心市街地にあるのか懐疑的になっている。多くの人々は、その物質的な衰退のために、地域のアイデンティティを強化し、まちの特徴的歴史を再現することがいかに重要か、そして、それを具体的にする上で中心市街地の歴史的建築物が如何に重要かを忘れてしまっている。
メインストリートプログラムでは、中心市街地の再活性化プログラムを成功させるために、人々の意識変化をその中心に位置づけている。すなわち、中心市街地の再活性化とは、中心市街地に対する人々の意識を積極的なものへと変化させることなのである。

5 メインストリートプログラムは現存する資産に焦点を当てている。
それぞれの地域は個性的であり、それぞれの中心市街地が特別な特徴を持っており、それが他との違いとなっている。中心市街地の特徴的な遺産を基本とした力強い再活性化の取り組みにより、そのメインストリートプログラムは、それぞれの地域個別の事情に基づいた体系的な計画を構成する。このようにして、メインストリートプログラムが適応される。

6 メインストリートは自主的活動である。
成功への意思と変化を求める希望なしに、中心市街地再活性化の成功はない。補助金はワークプランの資金の一部を助けることができる。コンサルタントはガイダンスを提供することができる。しかし、地域のイニシアティブ(自発性)がなければメインストリートの取り組みは仕事にならない。

7 メインストリートの取り組みは徐々に成果が現れる。
中心市街地の商業地は、経済的な力を一夜にして失ったわけではない。それは数年かけて起こったことであり、数々の小さな崩壊が、徐々に厳しい中心市街地崩壊スパイラルをもたらした。改善もまた徐々に起こるに違いない。
再開発事業やペデリストリアンモール(アーケード)整備によってもたらされるような地殻変動的変化は、長期的な中心市街地の経済成長にほとんど結びつかなかった。
メインストリートの取り組みは小さな改善の積み重ねを信頼している。それは、中心市街地についての市民意識を変化させ、地域の投資に対する雰囲気をより良好にする。地域の再活性化を行うメインストリート組織が、中心市街地の復興のために、数々の素材を動員する力と能力を備えたとき、徐々に、小さな変化が大きな成果とへつながっていく。

8 メインストリートプログラムは実践志向である。
中心市街地が立ち向かわなければならない大きな問題を特定し、優先順位化することで、活性化組織は大きな問題を小さなタスク(仕事)にブレイクダウンしたワークプログラムを開発することができる。そして、ボランティアの支援による強力なネットワークを構築することで、メインストリートプログラムはワークプランの中に位置づけられた定量化しれたタスクを成し遂げる組織的な能力を作ることができる。

ローカルメインストリートプログラムを成功させるためには何が必要か
すべてのローカルメインストリートプログラムが有効で長期的な変化を創出することに成功してきたわけではない。例外を除き、失敗に終わったローカルプログラムは、一つあるいはそれ以上、以下の理由が当てはまる。

3ヵ年で成果を出すことを約束したために、メインストリートプログラムが失敗に終わる
中心市街地の経済的活力を回復するために必要なすべての変化は、3年間では起こりえない。実際、その期間では、多分、変化が起こり始めたぐらいである。しかし、3年間プログラムに参加することのコミットメントは必須である。全米の地域におけるNMSCの経験に基づくと、地域のメインストリートプログラムの組織的体系を整え、自立できるようになり、地域に強固な根を張るまで、3年は最小の期間である。

メインストリートアプローチの4つのポイントを包括的に行うことに失敗する。
メインストリートアプローチは包括的である。それは、一つのポイントが他の三つに影響しあっている。一つのポイントに集中したプログラムは成功が限定される。他の分野からのサポート無しでは、長期的に続く前向きな変化を生み出す成功はない。

真の公民パートナーシップを構築できないことによる失敗
メインストリートプログラムを成功させるためには、両方が完全なパートナーとして含まれなければならない。

常勤のプログラムマネージャーを雇用できないことによる失敗
プログラムマネージャーは、委員会の設立、プログラムの推進、プログラムを成功させるためのボランティア活動のネットワークの構築など、全ての分野に関するサービスをコーディネーターとして手助けする。フルタイムのコーディネーションなく、メインストリートプログラムは長期の成長を維持することはできない。


包括的取り組みの重要性
不動産価値に関する理論では、価値ある商材としての不動産は4つの要素、すなわち、希少性、購買力、意欲(物件に関して)、設備(ユーティリティ)を持っているとされる。
もし、その商材がそれらを備えていればそれは価値がある。しかしながら、その判断基準は、社会的、政治的、経済的、物的な力に影響を受ける。そのため、不動産の商材としての価値は固定化されたものではない。それは、市場と共に変動する。
もし、中心市街地が、売上の減少(意欲)、マーケットの崩壊(購買力)、管理の欠如、交通や駐車場(設備)、他の商業施設の増殖(希少性)を通じて、その価値を失っていたら、以下のステップを通じて、再び価値を創出できることが理解できる。
□アクセスの整備、公共施設の改善、ビルのメインテナンス(デザイン)
□中心市街地の売り出し、商品とサービスの売り出し関してもっとも適切な市場をターゲットとする(プロモーション)
□新たなビジネスをリクルートする一方で現状のビジネスを強化する。(エコノミック・リストラクチャリング)
□変化を起こすために必要なグループを集める。(組織化)
□商品の希少性を生み出すユニークな歴史的資産を活用する。

メインストリートの取り組みにより、希少性(歴史的地区)、購買力(すべての商業地)、意欲(中心市街地に店を出したり、投資をしたりしたいと思う人々)、設備(アクセス、建物や公共施設のデザイン)を強化することを通じて、そのイメージは改善されてくる。メインストリートプログラムを通じて、中心市街地は再び商業地として価値あるものと認知されるようになる。歴史的保存と経済的再活性の要諦として。


これでイントロダクションは終了です。
ここまで呼んでみると、メインストリートの中心市街地再活性化活動とは、かなり包括的な活動であることが理解できると思います。
プロフェッショナルガイドでは、フォーポイントアプローチの4つの領域に分けて、それぞれの活動方法を具体的に説明しています。次回からは、包括的な活動の要となる「組織」についての説明に移ります。

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