中心市街地組織の設立

今回から組織の解説に入ります。
メインストリートプロフェッショナルガイドは、フォーポイントアプローチに基づき、第1章「組織」、第2章「計画」、第3章「プロモーション」、第4章「経済再構築」で構成されています。
第1章「組織」は、第1節中心市街地活性化組織の設立、第2節ワークプラン(作業計画)、第3節資金集め、第4節ボランティアとの仕事、第5節コンサルタントとの仕事の5節で構成され、組織運営の詳細なテクニックが紹介されています。
この「商店街活性化プロジェクト」では第1節から紹介していきます。
第1節中心市街地活性化組織の設立では、組織の必要性や組織運営の原則、組織の構成員、構成員の役割、役員会や委員会などについて書かれています。
メインストリートセンターは中心市街地活性化組織の成否を非常に重視しており、「中心市街地活性化の組織づくりがうまくいくか否かが、メインストリート成功の鍵を握る」と言っています。
我が国においても、改正中活法の中で中心市街地活性化協議会の位置づけが示され、行政、市民の横断的な組織の重要性が認知され始めました。
米国のメインストリート組織と日本の実体を対比していただくとよいと思います。

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第1節は、A4訳の訳で22頁になる長編です。適当に区切って毎週紹介していきます。

第1章:組織化

第1節:中心市街地組織の設立

中心市街地再活性化の成功の鍵は組織づくりにあります。力強く、活力のある組織は、中心市街地再活性化の成功と長期にわたる安定性を確保することになります。将来を見据えた計画のもとに、資金調達をし、将来の成功を約束するプログラムを作ること以外に再活性化の継続性はありえないと考えられています。
そのため、ナショナルメインストリートセンターは、中心市街地を本拠とする強固な組織の設立が、地域におけるメインストリート活動の第一番目の目標であると考えています。

組織の原則
一般的なことですが、成功するメインストリートは以下の特徴があります。
(1)地域の幅広い個人、団体からの支援
(2)他分野の相談を可能とする幅広い人材、参加者の確保
(3)明確な支援者の確保
(4)わかりやすいミッションと目標・課題の設定
(5)寄付や補助などの資金源の確保
(6)うまく構成された運営委員会
(7)フルタイム・マネージメントの体制づくり
(8)メインストリートアプローチをベースにした綿密な作業計画(4軸:デザイン、組織化、プロモーション、経済再構築)
(9)長期にわたる堅実な活動
(10)強い公民のパートナーシップ

これらの10の原則は、地域のメインストリート活動の基盤となり、成功する組織づくりの手法となります。

ミッションという言葉がたびたび用いられるようです。日本語に訳すと「使命」となりますが、米語におけるミッションはもう少し意義深いようです。
同様にコミットメント(「約束」)という用語もあります。これらは、自己目標、組織目標を達成すること、すなわち、自分あるは組織に約束した絶対的な言葉を意味します。
すなわち、ある目標をミッションとして掲げ、それをコミットメントする、ということは、何が何でもやり通すという覚悟を表しているといえます。

参加者を特定する
メインストリート組織は、地域全域から、中心市街地に関わりを持つ様々な団体や個人を取り込んで構成されます。それが成功の源となります。
中心市街地再活性化活動は、公的組織と民間組織、(例えば、経済界、市民団体、地域行政、金融機関、消費者)などの幅広い協働が求められます。また、その活動を推進するためには、多くのボランティアの動員が必要となります。
それぞれは、団体の特質上、中心市街地においては当然異なる関心事があります。しかし、それぞれが特有の視点を持っている一方で、すべての団体が、中心市街地を再活性化するという共通の目標のもとで活動していることに注目すべきでしょう。

それではなぜ、中心市街地再活性化組織は幅広い構成員で構成されるのでしょうか。それは、その活動を行う過程で「中心市街地再活性化には、お互いの共通目標が存在し、それを成功させるためには協働が必須である」ということをそれぞれの団体が認識する機会となるからです。さらには、その地域で最も強力な団体や個人が参加するということは、その地域におけるも最も効果的で、最も献身的な組織を作ることができるという意味も含んでいます。

中心市街地に関係する団体には具体的に以下のようなものがあります。

□商業者:
小売活動は中心市街地の経済基盤の重要な役割を担います。そのため、商業者は中心市街地の再活性化プログラムの成功に大きな関心があります。商業者にとってみれば、中心市街地の販売促進に最も関心があり、最も貢献する分野です。それだけでなく、その他の中心市街地活性化活動においても商業者の貢献度は高く、見返りとなる有益なことも多いのです。

□不動産所有者:
不動産所有者は、中心市街地の不動産を所有しています。したがって、メインストリート活動の成功に対して直接的な関心があり、しばしは再活性化活動の積極的な参加者となります。
しかし、不在地主はその活動に対してほとんど関心を示さないのが現状です。それでも再活性化に関する情報を与え続けるべきでしょう。なぜなら、そのような情報を提供し、情報を共有することで、不動産所有者にとっては、中心市街地を再活性化のメリットを理解することができるからです。

□商工会議所:
商工会議所は地域経済の発展に最も高い関心があります。したがって、商工会議所は、中心市街地の再生活動において最も重要な役割を担うことになります。
さらに、商工会議所は、地域の経済開発局との連携、ビジネス拡張の手助け、企業の新規参入の呼びかけ、情報の共有化などにより、メインストリート活動を支援することができます。一方で、商工会議所は、まち全体の開発に配慮しなければならない立場にあることも理解しておく必要があります。中心市街地に焦点を当てすぎることは、商工会議所が本来もつ使命と矛盾することになってしまうからです。

商工会議所はまちの経済発展を推進する立場にあります。そのため、中心市街地活性化と相反する開発を推進しなければならない場合もあるでしょう。例えば、市町村の発展のためには郊外のショッピングセンターが必要という場合が挙げられます。短期的には雇用力も上がり、地域経済への効果が高いでしょう。このような状況は米国も日本も変わりがないといえます。

□金融機関:
地域の金融機関は再活性化された中心市街地から様々な利益を享受することになります。 
例えば、地域社会に新たな産業を呼び込むために、新しい金融商品(経済開発ローンなど)を作ることなどが考えられます。さらに、金融機関特有の政策である預金、融資、パッケージローン、低利の借り換え、他の財務的刺激策などの方法を検討することができます。
こうした中心市街地の経済開発を刺激する方法などの政策面で再活性化プログラムを支援します。そして、多くの金融機関が、地域社会の再生に関連する金融を実行することでメインストリート活動に参画しています。

□市民クラブ:
市民クラブは再活性化活動に参加することにより、人々の生活の質を高めることに貢献できます。より楽しく、活気に満ちた場所を人々に提供します。

□歴史文化財を保全する組織:
歴史文化財の保全活動を行っている団体は、地域の歴史や歴史的建造物の保存技術など、中心市街地活性化に関連する分野において、その専門性を発揮できます。

□消費者:
消費者は、中心市街地が最活性化されることで、自分たちのニーズにあった商品やサービスを受けることができるなど、多くの利益を享受することになります。
残念ながら、消費者の多くは地域社会にすでに存在する組織には所属していないのが現状です。そのような状況でも、再活性化のために活動できるきっかけを与えることが大切です。中心市街地や地域社会をより生き生きとした場所にするための参加を呼びかけることで、中心市街地の再生に関心を持っていただくのです。

□市町村、その他の行政機関:
地方行政は、再活性化に関する資金、情報、技術などを提供することができます。地方行政の支援や参加なくしては、長期にわたる中心市街地再活性化活動を成功させることは難しいでしょう。
地方行政は、コミュニティの経済的成長の方向性を示す上でも大きな役割を果たすことになります。そのため、中心市街地の経済基盤を再構築したり、中心市街地問題の革新的解決方法を開発したりするメインストリート活動を積極的に支援する立場にあります。

□地域開発計画委員会及び行政審議会:
これらの組織は、メインストリート活動に関する市場データや技術的情報を提供することに一役買うことになります。同様に、この活動に貢献できる人材や活用できる資源などを提供や、行政(郡、州、国)などの経済産業を担当する部局との橋渡しなど、この活動に対する大きな支援となります。

□学校機関:
学校機関は、中心市街地の再活性化に対して大きな役割を担うことができます。
第一に、学校の授業などを活用して、再活性化の活動プロセスに対して若者達を参画させるように促すことが挙げられます。これは周知活動の一環として、中心市街地になじみがないと思われるような若者達でも、メインストリート活動のことを知らせることができます。
第二に、地域社会の生活の質を改善することに協力してもらうことが挙げられます。この活動を継続的に推進していくことに対して、次世代を担う若者達は実は大きな力を持っています。そのことを認識してもらうことが大切だと考えます。
最後に、若者達の学際的技術を実際の社会に適用する機会を提供してあげることが挙げられます。その技術を通じて、中心市街地再活性化の推進活動を支援してもらうのです。

□メディア:
中心市街地の再活性化に対すてメディアの果たす役割は高いといえます。例えば、新たな雇用の創出や、新規の投資などを誘発することによってもたらされる地域社会への経済波及効果などが挙げられます。これらは報道されるべき有益なニュースとして価値あるものです。このように、メディアは中心市街地再活性化の大きな支援者として位置づけられます。
もう一つ重要な役割として、地域で行われている様々なプログラムの成功事例などを広く周知させることが挙げられます。これにより、地域の消費者の求めているより良い再活性化の方法や地域のマーケットの特徴など、様々な情報を提供することにつながります。

以上の通り、メインストリートプログラムにおける組織はかなり幅が広いものです。この組織は、商業、あるいは関係権利者という概念ではなく、住民や企業、その他諸々の中心市街地に関わりを持つ様々な個人、団体で構成されています。
日本の活性化組織においても、多様な団体、個人で構成されている所があると思います。しかし、その数は、まだ少ないのではないでしょうか。
確かに、利害の異なる団体や個人を集めることは難しいことです。そう簡単ではありません。しかし、中心市街地を再活性化するためには、それが必要だ、とメインストリートは言っています。
そのためには団体や個人の立場を超えて、中心市街地を再活性化するという共通の目標で物事を語らなければなりません。ミッションをコミットメントすると言う意味はそのよう意味を含むのです。
後々、どうやって誘い込むかといった手口も紹介されていきますのでご期待ください。
次週は、組織の母体をどこに置くか、について続きていきます。

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