メインストリート活動のための組織をどこに設置するか
前回は、メインストリート組織の構成員について解説しました。今回は、メインストリート活動のための組織をどこに設置すべきかについて紹介します。市町村や商工会議所などの既存組織を利用する場合の注意点が書かれています。基本的には、新たな組織をNPOとして設立することが最も良いと言っています。今回は米国の活動を取り上げていますが、日本との類似点も多く見ることができると思います。
スポンサードリンク
第1節は、A4訳の訳で22頁になる長編です。適当に区切って毎週紹介していきます。
メインストリート活動のための組織をどこに設置するか
メインストリート活動を推進する組織は、事務局の作り方や構成員により様々な形態があります。いずれの場合でも、根底にあるのは、望ましい組織というものは、自律できる組織であることが重要であり、中心市街地の再活性化という目的を達成できるものであるということです。
自律した組織にすることにより、客観的な立場から市民共通の利益を考えることができます。そして、中心市街地の再活性化に特化した行動計画を策定し、中心市街地が抱えている問題に焦点を当て続けることができるようになります。
そのために、既存の組織を利用することから考えてみましょう。
まず今考えられる選択肢を評価することから始めることが大切です。そして、「成功する組織」で掲げた10の原則を成し得るためにはどの組織が最も有効であるのか評価してみましょう。
既存の組織を利用する
メインストリート組織は、自律した組織であることが理想ですが、以下に挙げる組織はそれに代わる組織として活用できます。
□行政(市町村)
行政の中にメインストリート組織を設置すると、初動期の活動をする上での安定性は高いと考えられます。しかし、行政組織は、民間セクターへの啓蒙活動や市民参画のことを考えると、どうしても活動が制約されてしまうこともあります。
行政によって作られたメインストリート組織は、活動そのものが政策論的になりすぎてします傾向が見受けられます。その結果、経済的な発展のための活動ではなく、行政論的な考え方が先行してしまうこともあります。
例えば、メインストリート活動が政策論的なるということは、選挙との関連性が強くなってしまうことを意味します。すなわち、メインストリートの賛否を選挙で問うことにつながるお恐れがあります。
もし、メインストリート活動を政治から切り離された幅広い協議会として、特別の地位が与えられるとするならば、(再活性化委員会として、あるいは中心市街地開発当局として)この代替組織は実行可能な選択といえるでしょう。
□商工会議所
行政と同様に、商工会議所は、メインストリート活動を推進する上で迅速に対応できる代替組織であるといえます。
例えば、事務所や設備をはじめ、そこで働くスタッフを活用できるので、迅速に再活性化活動をスタートするに当たり、初期投資も少なく抑えることができます。
しかし、ここでも考慮すべき面があります。商工会議所は民間の代表であるというメリットがある一方で、中心市街地だけに特化したプログラム運営の足かせになることがあります。例えば、商業の利益が中心市街地再活性のための必要施策と相反する場合、軋轢が生じることがあるからです。
商工会議所のスタッフをそのままメインストリートマネジャーとすることがあります。この場合、中心市街地再活性化と相反する活動を同時に行わなければならなくなった場合、視点が定まらず、推進活動が滞ってしまう可能性があります。
さらに、相反する複数の役割をこなさなければならないことにより、活動計画に混乱が場合、商工会議所とメインストリートとしての役割の両方の役割を担うことは困難になります。必然的にいずれか一方を選択しなければならない事態になります。一般的には、商工会議所の利益を優先してしまうことになるでしょう。その結果、中心市街地再活性化活動が安定性を欠き、そもそも予定していた活動ができなくなってしまうでしょう。
しかし、「組織に関する10の原則」が守られ、中心市街地に焦点が定まっていれば、商工会議所も考えられる一つの代替案であることは間違いありません。
□商店街組織
メインストリート活動の初動期の利益は、中心市街地で商売をしている方々から発生することになります。
そのような商人グループは民間の代表である一方で、どうしても資金力は不安定であり、他の組織と比較するとその組織力も弱いのが現状でしょう。
商店街組織に作られたメインストリート活動を見てみても、小売商業に近くなりすぎてしまったために、活動イメージが、一般市民にとっては単なる商店の販売促進活動の一環として捉えられてしまう傾向があります。
「メインストリート活動は包括的に行わなければならない」という大義名分は、すなわち、幅広いコミュニティの代表からなる活動であります。活動を成功に導くためには、常に地域住民との信頼性の維持が求められ、活動計画を立てる時には強く考慮すべき部分です。
そうはいっても、商店街組織がしっかりとした資金力に基づく信頼できる先見性のある組織として考えるならば、この商店街組織も大切な代替案の一つでしょう。
□既存の中心市街地開発組織
中心市街地開発組織は、メインストリート活動に望まれる多くの質と特徴があります。この組織が活動主体として適切であるかどうかは、過去の業績などを考慮する必要があります。
例えば、過去の業績を客観的に検討することで、地域コミュニティからどのように見られているのかを評価することです。仮に、この組織は中心市街地の問題にとってあまり効果的ではない組織として見られていたとするならば、今後のメインストリート活動を迅速に進めることは困難になるかもしれません。
さらに、中心市街地活性化組織は法律ももとに設立されている場合があります。その組織の位置づけがそういった法律に基づいているのかを分析する必要もあります。多くの州では、それらの組織が、限定された役割を担うことを目的として設立されていることもあり、法律上どうしてもできないことがあり、活動の幅が狭められており、中心市街地の再活性化にそぐわない場合があります。
新しい組織を作る
さて、これまでメインストリート活動を推進するために中心となる組織を見てきました。多くの場合、既存の組織に頼らず、新しいNPO組織を作ることがメインストリート活動を推進するためには、最も良い選択肢であることもあります。例えば、新しい組織は、
□過去の経緯に束縛されない自律した組織であり、目的に即した活動ができる。
□地域政策の制約などにより阻害されない一貫性のある計画を作ることができる。
□中心市街地再活性化の明らかなシンボルとして、新たな活動、新たなビジョンを築くことができる。
このように新しく設立する組織は、既存の組織が成し遂げられなかった活動計画を新たに作ることができます。そして様々な知識と経験を持つ幅広いスタッフより構成され、自律した目的のもと、地域社会に新たな改革の精神を注入することができます。そして、成功する中心市街地組織の10原則のすべてを要件を満たすことが可能となります。
以上、今回はメインストリート組織をどこに設置するかについて述べました。日本の経験と重複するところも多くあるのではないでしょうか。次週は、「新しい組織を作る」上で考慮する事項、組織の構成について訳します。
スポンサードリンク
サイト内関連記事
- 中心市街地組織の設立
- 今回から組織の解説に入ります。 メインストリートプロフェッショナルガイドは、フォ......
- メインストリートの組織構成と役員会
- 前回は、メインストリート組織をどこに設置するかについて紹介しました。 米国メイン......
- 役員会の責務
- 前回は、メインストリートの組織構成について紹介しました。 メインストリートは、ボ......
- アドバイザリーボード
- 前回は、メインストリートの組織の役員会について紹介しました。役員の責務について説......
- プログラムマネージャー
- 第12回では、エグゼクティブコミッティとアドバイザリーボードについて紹介しました......
- プログラム・マネージャー(2)
- 前回は、プログラム・マネージャーについて紹介しました。プログラム・マネージャーは......
- 委員会(1)
- 前回は、プログラム・マネジャーについて紹介しました。今回は、委員会(コミッティ)......
- 委員会(2)
- 前回は、コミッティ(委員会)の内、PR委員会についてご紹介しました。PR委員会は......
- 委員会(3)
- 前回は、計画(デザイン)委員会と経済再生委員会について紹介しました。計画委員会は......
