メインストリートの組織構成と役員会
前回は、メインストリート組織をどこに設置するかについて紹介しました。
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米国メインストリートでは、中心市街地の活性化を目的とする新たな組織としてNPOを設置することが最も良い考え方であるとしています。しかしながら、市町村、商工会議所、商店街組織、開発公社などの既存の組織などを利用することも検討の一つとしており、それぞれの利害得失が述べられていました。このことはまさに日本と近似する点であると思います。
さて、今回から、メインストリート組織の内部構成について説明していきます。
「ボード・オブ・ディレクターズ」、「アドバイザリー・ボード」、「プログラム・マネージャー」、「コミッティ」という言葉が出てきます。正直、アメリカのシステムのため、なかなか理解しにくく、日本語に訳すのが難しいです。
私の理解としては、ボード・オブ・ディレクターズというのは、会社に例えれば、意志決定に関わる管理職会議、すなわち役員会。アドバイザリー・ボードというのはその役員会を補佐する諮問機関や協力組織。プログラム・マネージャーとは、専属雇用されたマネジャー、すなわち、事務局長。コミッティというのは、4ポイント・アプローチ(組織、計画、推進、経済再生)に基づく4つの委員会のことで、それぞれの委員会に委員長と考えてください。メインストリートの一般的な構成図は以下のようになります。読者の皆様の身近な例に当てはめてみてください。

それでは、ボード・オブ・ディレクター(役員会)から始めます。
■ 理想的ローカルメインストリート組織
組織をつくりにあたり、様々な疑問が生じると思います。主な疑問点を以下に挙げてみました。
・ 理想的なメインストリート組織の特徴とはどのようなものか?
・ 誰が役員会のメンバーになるのか?
・ 各委員会の責任はどのようなものか?
・ どのようにして委員会を設立するのか?
・ どのように行動理念を作り上げるのか?
・ 実務を担当するスタッフの役割はどのようなものか?
米国メインストリート組織は様々な方法で運営されています。
例えば、大きな方針を出す役員会と実務レベルの方針を出す執行部に分けて、メインストリート組織が運営されているような方法をとるまちがあります。また、諮問会議(アドバイザー)と役員会とがプログラムの責任を分担しているところもあります。あるいは、協力関係にあるメインストリート以外の組織とメインストリートの役員会が協力する形でプログラムを分担しているところもあります。
このように組織構成は、既存の組織、人的・経済的資源、その他の要因など、地域で優先すべき事柄によって決まるものでしょう。
全米に存在する数百のメインストリート組織の経験に基づいた理想的メインストリート組織の構成と特徴については、これから解説します。これは、新しい組織を作ることだけでなく、既存組織を見直したり、再構成したりすることにも適応できるでしょう。
■ ボード オブ ディレクター(役員会)
メインストリートプログラムの役員会は、中心市街地に前向きな変化を呼び込むための基礎的な事柄やその活動の推進方針を策定する役割を担います。いわば最高意思決定機関といえます。
中心市街地の再活性化を成功させるためには様々な要件が必要です。
・ 既存の地域資源を特定し、それを活用すること
・ ボランティアの支援を得ること
・ 新たな人材(指導者や先導者)を発掘すること
・ 中心市街地のニーズを把握すること
・ 取り組むべき課題に対して明確に焦点を絞ること
■ 役員会のメンバー候補
この役員会の活動は、実践主義に基づくものであるため、活動を遂行するために必要十分な定員数で、かつ、幅広いコミュニティを代表するのに十分な人選であることが必要です。
理想的には、役員会は、次のようなグループから人選されるべきでしょう。
・ 中心市街地の商店主(商店街)
・ 中心市街地再生に関連する専門家
・ 中心市街地の不動産所有者
・ 各種市民団体のリーダー
・ 行政職員
・ 自治会などの会長(町会長)
・ 市民団体のリーダー
・ 地方の公的組織
・ ボーイ・ガールスカウトなどの青少年団体
・ 歴史的建物の保全などに尽力する組織
これら利害関係にある団体のメンバーなどで構成されます。そして中心となる7~11人程度を人選し、実践的な組織体制を作ります。
■ 幹部役員(オフィサー)
誰もが組織のメンバーになれるわけではなく、会員制をとっている組織になります。そのような組織の幹部役員は、プレジデント(代表役員)、バイスプレジデント(代表役員補佐)、収入役が、会員の了解を得て決定されることになります。(会員制ではない組織の幹部役員は、役員会の互選によって選ばれます。中心市街地開発局や市の委員会の場合、行政により指名されます。責任を分散する目的で共同代表を選んでいる例もあります。)
なお、幹部役員については、組織を活性化させるために毎年、役員の3分の1を入れ替えることが一般的な方法です。
もし、多くの人たちが関心を持ち、役員会への参画を希望するのであれば、他にも個々で参加できる地位(役割)や、特定の問題についての委員会を設けていますので、そういった委員会で活躍してもらうよう配慮することもできます。
■ 役員会の役割
プログラム・マネージャーは、役員会に対して、報告や対応を行うようにします。プログラム・マネージャーは日々の活動内容について役員会のプレジデントに相談することになります。したがって、情報を役員会に集中させるためにも、他の委員会の委員長などに報告することは、円滑な組織運営を妨げることになり、逆効果です。
役員会のメンバーが決まったら、「3つのW」に対して責任をもつ者を決定することが重要です。この3つのWとは、Work(仕事)、Wisdom(知恵),Wealth(富)です。
まず、Workとは、組織に参加した人々が、活発に仕事ができるように配慮することを意味します。すなわち、プロジェクトの計画や推進に関することです。
Wisdomとは、必要な技術や情報を提供してくれる人材に関することです。例えば、これらの人材は、法律、会計、設計、ボランティア管理、不動産などの専門分野の技術を有している方々を指します。これらの人材を補佐的な役員会メンバーに指名したり、長期間参画できるようにアドバイザリーボード(諮問機関)にと要したりすることが望ましいでしょう。
Wealthは、中心市街地の再活性化活動の財務に関することです。
役員会というものは、時間・資金・技術・人材・情熱・地域を大切にする心、を組織にもたらす役割を担うものと理解しています。
ボードの役割に単純な定義はなく、一般的に、ボードの責任は、教育すること、合意を形成すること、活動を通じて中心市街地の経済に刺激を与えること、中心市街地に活動の焦点を合わせること、中心市街地の再活性化活動にボランティアが最も多く参加するようにすること、などが挙げられます。
中心市街地の再活性化のための活動が前進すると共に、役員会の役割は変化するものです。一方で、恒常的に維持されるべき基本的責任も踏まえておく必要があります。例えば、
□ 役員会は、メインストリートプログラムに対して究極の責任と説明責任を持つ。役員会は、日々の運営をプログラム・マネージャーや委員会に委ねる一方で、プログラムの適正な更新、予算の審査、プログラムの効果性に関するモニタリングや評価は役員会自ら行う必要がある。
□ 役員会は、なぜ中心市街地の再活性化がまち全体にとって重大であるかなど、幅広い見地から説明できなくてはならない。すなわち、メインストリート再活性化の原則に関する包括的な理解、再活性化の活動の市町村の理解と参画、再活性化活動への民間セクターの参画、民間セクターのやる気を継続させることにある。つまり、役員会は中心市街地再活性化を啓蒙し続ける代表者でなければならない。
□ 役員会は中心市街地再活性化の活動に対してボランティア活動の力が発揮できるように配慮しなければならない。
その他、役員会の特別な責任として、
□ メインストリートプログラムに関する秩序ある計画、財務的コントロールを確実にすること
□ プログラムが目標や課題と整合が取れていること、また、課題は利用可能な資源に基づくこと。
□ 活動計画や定期的な予算の見直しにより、プログラムの予算を設定すること。
□ すべてのプロジェクトに関連する支出と収入を管理すること。
□ 活動の成果をモニタリングし、ボランティアやスタッフに成果を知らせること。そして、毎年、すべての活動結果を評価することで、活動を継続的に改善すること。
□ プログラム・マネージャーやその他のスタッフを雇用し、マネージメントすること。
□ 様々な機会を利用し、メインストリート活動の目標や成果に関する啓蒙活動を行うこと。そして、その活動を通じて、公的支援、資金集めを促進すること。すなわち、まちの大使的役割を担うこと。
□ メインストリート活動に関する目標と課題の設定、方針の確立、活動の優先順位などの意志決定をすること。
長くなりましたが、ここまでとします。今回は、組織の意志決定機関となる役員会についてその人選や役割について解説しました。
ここまで読むと、かなり理想論的な雰囲気が伝わってきます。しかし、私が知っているいくつかのメインストリートを思い起こしても、組織運営の優劣はまちまちです。皆が、全く同じシステムをとっているわけではなく、地区の実情にあわせて運営されていると理解して良いでしょう。
ここでのポイントを私なりに整理すると、
・ 役員会は様々な代表によって構成される。
・ 役員会は常に中心市街地活性化を啓蒙する。
の2点です。
日本の中心市街地関連組織を想像すると、やはり、商業関係者が主になる場合が多いと思います。優劣をつけるべきことではないと思いますが、米国の中心市街地活性化の考え方の一端を見ている気がします。
米国の一例にすぎませんが、ご自分の地区を想像して、読み替えてみると良いと思います。
次週は、役員会の責任について紹介します。
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