プログラム・マネージャー(2)
前回は、プログラム・マネージャーについて紹介しました。プログラム・マネージャーは、メインストリートの成功要因の一つにあげられるほど重要な役割を持つ人です。日本ではタウンマネジャーという呼び方の方がわかりやすいかもしれません。
今回は、プログラム・マネージャーの後半です。
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それでは始めます。
■ プログラム・マネージャーとボランティア
中心市街地の再活性化を成功させるためには、常勤のプログラム・マネージャーが必須です。しかしながら、次のことを気にとめておかなければなりません。
まず、メインストリートプログラムは、コミュニティ全体からのたくさんのボランティアの活動によって支えられています。したがって、プログラム・マネージャーはボランティア活動をするべきではありません。
プログラム・マネージャーの主な役割は、ボランティアの能力を拡大し、開発することで、委員会の活動を円滑にすることです。
そして、プログラム・マネージャーはファシリテーターとして仕えるのであり、ボランティアの仕事を効率的かつ生産的にするために人と資源をコーディネートすることです。
メインストリートプログラムは理事会を始め、大多数の活動がボランティアによって支えられています。この点が、我が国と異なる大きな点でしょう。
例えば、我が国では、中心市街地活性化基本計画の原案の策定をコンサルタントに委託し、行政や地元の協議や参加によりオーソライズする方法をとります。しかし、メインストリートでは、プログラム・マネージャーが中心となり、地元の参加者を教育、指導し、基本計画を策定しています。当然、素人では無理な分野はコンサルタントに委託します。また、参加者を教育するためのプログラムをメインストリートセンターに委託したりしています。
すなわち、プログラム・マネージャーとは計画づくりから事業の実施までを総合的にコーディネートする人なのです。また、地域の組織の気運を盛り上げ、組織が円滑に動くようにマネージメントする人なのです。
ただし、プログラム・マネージャーは専門家ではありません。そのため、自ら設計業務を行うこともないし、テナントの誘致、ビル運営などの実務を行うこともありません。あくまでマネージメントの専門家として働く人なのです。
■ プログラム・マネージャーの技術
プログラム・マネージャーは創造的で、積極的で、柔軟性に富んでいる必要があります。
再活性化活動の様々な局面で、その時々に応じて、色々な役割を演じなければいけません。例えば、午前中は風船を膨らまし、午後には銀行家と金銭的奨励制度についての話をするようなことです。
プログラム・マネージャーはプログラムについての開発、調整、書類手続き、推進の責任があるため、タイプの異なる人々と上手に付き合うことができるような資質を備えていなければなりません。
有能なプログラム・マネージャーは以下の特徴があります。
□ 再活性化活動の達成を後押しできる中心市街地の強力なアドボケーター(啓蒙家)であること。
□ 率先して仕事をする人であること。一人で仕事をする能力があること。
□ 人々とうまく仕事をやっていける社交性があること。
□ マンツーマンのコミュニケーター技術を持つこと。
□ 歴史的保全の計画力や知識があること。
□ 適応性があること(融通が利くこと)。
□ 再活性化の過程において新しい考え方や新鮮な手法を持ち込む一方で、コミュニティの保守性にも合わせていける能力があること。
以上で、プロフェッショナルガイドのプログラム・マネージャーの説明は終わります。
以下では、理解を助けるために、現地でのヒアリング結果などをふまえて、プログラム・マネージャーに関するいくつかの疑問に答えようと思います。
Q:プログラム・マネージャーはどのような人がなるのですか?
A:様々な経歴の持ち主がいるようです。設計業務や都市計画分野の経験者、大手SCの経営に携わっていた人、地元の行政関係者、商工会やコミュニティ組織の代表者など様々です。
基本的には、米国は転職社会ですから、複数の仕事をしてプログラム・マネージャーの職に就いています。大学などを卒業し、そのままマネージャーになる人は少ないようですが、メインストリートも発足から25年を経過し、ボランティアとして参加していた若者がプログラム・マネージャーになるというケースも増えているようです。
Q:米国ではプログラム・マネージャーという専門職があるのですか?
A:専門職と言えるまで社会的に認知されているわけではないと思います。
1200地区の実績があるとは言え、米国において、一般の人たちにメインストリートのことを尋ねてもその存在を知る人は少ないでしょう。
しかし、「NPOのマネジャー職」と言えば社会的に認知されるのではないかと思います。
プログラム・マネージャーになるための専門的教育は、メインストリートセンターが行っている養成プログラムや認定システムがあります。しかし、大学などで行う教育プログラムや公が発行するライセンスがあるわけではありません。
ただし、NPOの経営という分野は、米国は進んでいます。米国では1980年代から大学においてNPO経営の教育プログラムを行っています。例えば、オハイオ州ケース・ウェスタン・リザーブ大学マンデルセンターなどが有名です(日本からも留学されている方々が大勢います。)。
メインストリートのマネジャーと言って分からなくとも、NPOのマネジャーと言えば、社会的に認知される、そんな状況と思います。
Q:プログラム・マネージャーの勤務状況は?
A:メインストリート組織との雇用契約により様々なようですが、精力的に仕事をするプロフェッショナルの仕事ぶりと言って良いと思います。
ワシントンDCにあるバラックスローというメインストリート組織のマネジャーは非常に精力的に仕事をする方でした。
メインストリートにある店舗の2階の小さな事務所に一人で詰めており、商店街や地域の人たちと毎日挨拶を交わし、ボランティアが訪ねてくれば気軽に昼食に行く、物腰の柔らかい誠実さの漂う、人当たりの良さそうな人でした。
基本的には朝8時頃から晩9時頃まで事務所にいるそうです。事務所の扉が閉ざされていたり、部屋の明かりが消えていたりすることは、メインストリート活動にとってマイナスとされています。
メインストリートのマネージャー職が生活の一部になっている、そんな感じの人です。
メインストリートは地域との共同を絶対条件としています。確かに、たまにしか現れないコンサルタントや立場の異なる行政マンでは、地域の実情は図りきれないし、地域と信頼関係を築くには十分でないのかも知れません。
38歳の独身と言っていましたが、結婚をしてもこの仕事を続けたいと言っていました。
Q:プログラム・マネージャーの給料は?
A:中級所得者の下から中くらいだそうです。
米国は大都会と田舎の物価に相当の違いがあります。そのため、プログラム・マネージャーの給料も大都会と田舎とでは相当開きがあるようです。大都会(ニューヨーク、ワシントン)では、日本の相場観から言うと年収500万円くらい、地方都市で300万円くらいのようです。「一般的な生活には困らないが決して儲かる仕事ではない」と言っていました。
全てのマネジャーが常勤雇用で生活が成り立っているかというとそういうわけでもないようです。メインストリート組織の収入状況によって雇用形態も大きく異なるようです。
収入が少なければ、午後のみ勤務とか、週の3日勤務など、そのメインストリート組織の収入状況により臨機応変に対応しているようです。しかし、プログラム・マネージャーを雇用することは絶対条件となっています。
Q:プログラム・マネージャーに支払う給料はどのようにして手当てしているのですか?
A:メインストリートプログラムは地域主体の活動なので、地域からの寄付や自主運営によって成り立つことが理想ですが、実体は、市町村からの補助金で成り立っている例が多いようです。
これも様々なパターンがあるようですが、全てメインストリート組織が自営収入で成り立っているわけではない、というのが実体です。
多くの自治体が、メインストリートの立ち上げから5年間くらいを補助期間としているようです。その期間は、運営に必要資金の何パーセントが補助されます。裏を返すと、補助期間以降のプログラム・マネージャーの給料の支払いが課題になっているのが事実で、プログラム・マネージャーもその点の不安を抱えていると話していました。
以上、思いつく疑問を書き出してみました。
想像するに、メインストリートプログラムが発足した25年前、プログラムの立ち上げに携わったメインストリートセンターの専門家(5名)以外にプログラム・マネジャーと言える人はいなかったのでしょう。
それから、現在、1200地区の実績に至るまで、紆余曲折があったのだと思います。メインストリートセンターが暗中模索でプロフェッショナルガイドを作り、養成講座を開設した。たぶん、はじめから明確なイメージがあったわけではなく、メインストリートの地区数が増えるに従って、プログラム・マネージャーとはどのようなものか、そしてその仕事の内容や方法が一般化していったのだと思います。
我が国でも、我が国なりのトライが必要なのではないでしょうか。
以上で今回はここまでとします。次回は、委員会の役割について紹介します。
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