まちのマーケッティング(5)

前回に続き「まちのマーケッティング」の手法を紹介します。
前回は、第1ステップ「地区の現況を把握する」と第2ステップ「まちのポテンシャルを把握する」のまとめでした。
今回は、第3ステップ「消費者調査の方法」をご紹介します。それでは始めます。

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今まで紹介したまちのマーケッティング分析は、現況や需要などの情報を収集する間接的な方法であった。今回は、現況あるいは潜在顧客に関する直接的な情報を集める方法に焦点を当てる。

ステップ3 消費者が望んでいるものを把握し、定義する。
まちのマーケッティング分析に関するステップ1とステップ2は、人口統計や家計消費統計のような情報源から情報をどのようにして集めるかを紹介した。
今回は、あなたの商業地区を訪れる人々(あるいは、あなたの街に住んでいる人たち、しかしいくつかの理由で商店街にやってこない人たち)から情報を直接的に得ることについて紹介する。実地調査を行うことでこのような情報を得るのである。

あなたは、実地調査を以前行ったことがあるかもしれない。あなたが以前集めた全てのデータを見直してほしい。ところで、あなたが所属する委員会では、その情報について議論し、疑問を出し、お客から得る必要がある付加すべきデータが何かを決めただろうか?

もし、新しいレストランを開店することができる十分な需要があることがセールスギャップ分析により分かったとしたら、あなたはお客に「どこで最近食事をしていますか」と尋ねる必要があるだろう。あなたのお客から何を学びたいかを定義すること、そのような設問を作ること、それが大切なのである。

理想的には、あなたは二つの異なる(しかし、非常に関係性のある)調査を実施すべきだ。
はじめに、あなたの商店街を最近訪れている人々を調査する。この調査は、商店街を歩いている人たちに途中で立ち止まってもらって尋ねる調査なのでインターセプトサーベイと呼ばれる。その調査では「この地区について何を好んでいるか(好んでいないか)」「様々な商品に関してどこのお店で買い物するか」「地区に訪れるのはいつか」などに関する情報を調査する。

次に、まち全体について調査する。この調査は、あなたの地区が地域マーケットのどの部分を獲得しているか、そして獲得していないかを調査するものである。その調査は、それぞれのお客の行動、買い物のパターンなどの統計的特徴を示してくれる。

まち全体の調査を行うためのもっとも信頼できる方法は、電話による聞き取りである。郵便調査は役に立たない。郵便調査は、特定のグループの意見、習慣、統計値のサンプルを与える。そのグループとは、郵便調査を完成させることが好きな人たち(概して、一般大衆よりも教育のある人たちで、年をとっている人たちになる傾向がある)である。よって、郵便調査は、調査が目的とする一般大衆の意見、習慣、統計上の特徴に関する信頼できるサンプルを与えることはできない。

上記の両方の調査が無作為に行われることはきわめて重要なことである。統計的に言えば、あなたの地区を訪れる人々(インターセプトサーベイ)やまちに住んでいる人々(電話調査)が等しい抽出条件を持つと言うことである。

まさしく無作為抽出で行われた調査は、もし、あなたがまちの全ての人に尋ねたとして得られる結果とほとんど等しい結果を得るに違いない。無作為サンプルを得るためには、一日の無作為の時間、週の無作為の日に調査を行わなければならない。

インターセプトサーベイは、商業地区の中から無作為の場所で行われるべきである。その場所として選ぶのにもっとも良い場所とは、商店街の歩道の入り口と出口、大きな駐車場、大きな就業先(会社や役所)、バス停、地下鉄駅、まちを訪れるもっとも多くの人たちが通り過ぎる場所の近接地などである。

店舗の中で調査を行ってはならない。そうすると特定の店をひいきにしている買い物客の回答に限定されてしまう。それでは他の理由のためにまちを訪れた人々を除外することになる。

人々を抽出するための方法を決めること。たとえば、歩いている人を15人おきに抽出する、5分ごとに抽出するなどである。そして、全体の調査を通して、この方法を忠実に守ること。

電話調査に関して言えば、あなたの商圏の中から無作為に抽出すること。あなたは以下の3つの方法で行うことができる。
1 あなたが集めたいと思っている調査サンプル数で電話帳に載っている電話番号の数を割り、そして、その数おきに電話番号を抽出し電話をかける。(この方法は電話番号を抽出する比較的簡潔な方法であるが、電話帳に登録されていない電話番号は除外される。)
2 エクセルなどのコンピューターの表計算ソフトを使った乱数表により電話番号を発生させる。この方法は電話帳に登録されていない電話番号に電話することができる。
3 電話局にお願いし、無作為に電話番号を抽出してもらい、それをいただく。これはたぶんもっとも良い考えである。なぜなら、電話局は商用電話番号を除くことができるからである。

寸面前に私が働いていたまちでは、ボランティアを使って電話調査を行っていた。そこでは、高齢者センターにボランティアをお願いしていた。不運にも、再活性化グループは無作為抽出法の重要性をボランティアに明確に説明することが出来なかった。そのため、その調査では、まちの住人の9割が70歳以上であるという結果となった。その驚きを想像してほしい。ボランティアは無作為に抽出された電話番号に電話をかける代わりに、彼らの友人に電話をした。すべてをやり直さなければならなかった。

両方の調査に関して、何人かのボランティアが一緒になって仕事をすることが最もよい。インターセプト調査の場合は、二人のボランティアで調査を行う。一人のボランティアが通行人に聞き取り調査をする。もう一人は、歩いている人の数や時間を記録する。そして、すべての情報は、完全に信頼できるかどうかを、人々にもう一度確認する必要がある。

調査においては、名前を尋ねないこと、あなたの名前を自発的に言わないこと。あなたが人々を立ち止まらせているとき、クリップボードにとめられ調査を彼らに手渡し、そして、彼ら自身でそれに書き込んでもらう。そして彼らに書き込みが終わった質問用紙を回収箱(上部にスリットが入っていて中が見えないもの)に入れてもらう。これは、彼らの回答が秘匿されることを強調する。

多くのまちでは、一週間か二週間前に調査が行われることを地域情報誌や市報等に載せている。そして、調査に協力するように呼びかけ、調査の価値を周知している。

調査に戻ろう。調査は、質問に回答してもらうために5分から8分の時間を要する。少なくとも以下のことを尋ねる必要がある。
• 統計的特長(家計収入、年齢、性別、民族、その他あなたが必要とする情報)
• 居住地と就業地
• 商業地域にどの程度の頻度で来ているか
• 特定した商品やサービスについて、どこで買い物しているか
• 商業地域に関する感想

あなたは何人の人を調査するべきだろうか。それはあなたがほしいと思う信頼性による。一般的に信頼性を誤差率5%の範囲で達成するために、あなたは385サンプルを集めるべきである。それはあなたのまちの大きさの問題ではない。サンプルの数は精度と確率の要因である。人口の大きさではない。もしあなたが1000人にも満たないとても小さな町にいたら、より少ないサンプル数の調査を行うことが出来るだろう。

△統計数学によれば、人口の数にかかわらず385サンプルで信頼度95%を確保することができます。ただし、例えば、若者、お年寄り、中年などグループ分けをしたデータを必要とするのであれば、それぞれのグループで385サンプルが必要です。すなわち、人口の規模ではなく調査の内容により集票数を決定する必要があります。このことはマーケティングの世界では常識的なことですが、余り知られていません。俗に、人口の○○%が優位値、等と理解されている方もいるので注意してください。また、郵便調査は郵便調査に自発的に協力するというバイアス(抵抗)がかかりますので、このことにも注意する必要があります。

インターセプト調査のサンプルを次週以降紹介する。インターセプト調査で行う、その地区にいることに関する質問(例えば、「今日はどのようにしてまちに来たのですか」)を除き、電話調査は同じ質問を含んでいる。サンプルを一言一句採用しなくて結構。あなたの商業地区に合わせて質問するようにしてください。

△次回以降、米国ナショナルメインストリートで行われている調査票のサンプルを紹介します。

今回はここまでとします。次回は「ステップ4総合化してビジネス開発戦略を組み立てる」について紹介します。

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