まちのマーケッティング(7)
前回に続き「まちのマーケッティング」の手法を紹介します。
前回は、第4ステップ「総合化してビジネス開発の戦略を組み立てる」を紹介しました。今回から原典の資料を変えて紹介します。前回までは「Retail Market Analysis」という資料でした。今回から「Getting Started: About Main Street」という資料を紹介します。前回と同じく、まちのマーケッティングに関する資料です。「メインストリートのマーケッティング戦略」と訳してみました。
それでは始めます。
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メインストリートのマーケッティング戦略
メインストリートのマーケッティング戦略とは「あなたのメインストリートを他の商業地と明確に差別化すること」である。それが効果的なのだ。
すなわち、他のメインストリート、ショッピングセンター、ディスカウントスーパーなどと異なる何かを持つことなのである。あるいは、あなたのメインストリートの特徴・個性をさらにのばしていくことなのである。そして、消費者の心の中に「あなたのメインストリートは他の商業地とは違っている」という明確なイメージを作り上げること、それがマーケッティング戦略なのである。
また、マーケッティング戦略を完成させるためには、その戦略を長い間継続することがどうしても必要だ。経済的な効果が徐々に現れ始め、完全な段階に至るまで、再活性化活動を動かし続けなければならない。
<マーケッティング戦略を作る>
マーケッティング戦略は、まちの地理的位置、まちの建物や建造物などの物的な要素、特徴ある産業、大きな工場や業務地、あるいは観光地からの近接性、歴史的イベント・お祭り、一般的なまちのイメージ等々。すなわち、マーケッティング戦略はあなたのまちの特徴や個性である。
まちの特徴や個性を意図的に用いることでマーケッティング戦略を作り上げた事例は多い。例を挙げると、メンフィスはエルビスプレスリーとブルースをマーケッティング戦略に使った。
アリゾナ州のトゥームストンというまちは「OK牧場の決闘」で有名なまちだ。まちの経済全体が「OK牧場の決闘」に関連して動いている。
サウスダコタ州のウォールは、中西部の大草原地帯からわき出る清水を無料で飲めることを大きな広告塔に掲げ、宣伝したことで世界的に有名になった。
メイン州のフリーポートはアウトレットストアーで世界的に有名になった。
フロリダ州のターポン・スプリングスは毎年、スポンジダイバー(海綿)を見に何千人という人々がやってくる。
全ての例において、それぞれのまちが、まちの特徴や個性を活用し、莫大な利益を上げていることに気づくだろう。また、その特徴や個性を精力的に掘り起こし、育て、洗練させていることに気づくだろう。
全米で、あるいは世界的に、よく知られ、喝采をあびているメインストリートの事例は数多い。
しかし、それは一部に過ぎない。ある一部の専門的な人たち、大学の同窓会、古くから住んでいる人たちなどが知っている「地域的には有名なところ」あるいは「ごく一部のグループに有名なところ」はそれ以上に数多い。偶然というわけではなく、訪れる人たちの感動を呼び起こすすばらしい風景を持つまちは全米中の至る所にある。
そのような本来備わったまちの特徴や個性をマーケッティング戦略に結びつけたところが良い成果を成し遂げている。
マーケッティング戦略にとって重要なことは、それらの特徴や個性をビジネスにすること、そして、まちに住む人々にとって本当に特別な地域にすることである。
メインストリートを経済的に活性化するということは、建物の状況や地区の環境を改善するということに他ならない。つまるところ、地区の不動産所有者の賃料収入を上げることになる。
不動産所有者の賃料収入は、小売業、オフィス、住宅、卸売、行政サービス、その他の用途で成り立っている。率直に言って、どのような用途にビルを貸すのかは彼らの意向に関わっている。
ある地区では、ビルのコンディションを良好に維持するために必要な賃料を得られる用途はオフィスだけかもしれない。しかし、まち全体にとってそれがよいことなのだろうか。住民がそれを望むのだろうか。歴史的商業建築を活用する手だては他にないのか。まちのアイデンティティはどのようにして保たれるのか。
理想的には、中心市街地の伝統的商業は、その建物と同様に、ユニークで、地元固有で、まちを象徴するようなものであるべきだ。もし、メインストリートの建物がまちの歴史を具体的に表すものなら、そこで営まれる商業、教育、宗教、工業、市民活動は、そのまちの個性そのものとなる。
マーケッティング戦略とは、まちの個性を十分に発揮し、経済的に利用できるものにすること、また、市民が本当に望んでいるまちを形作ることと言える。
ここに事例がある。マサチューセッツ州のイーストボストンでは二年前にメインストリートの活動がスタートした。活動としては若いものだ。イーストボストンには豊かなまちの資源がある。海に面するまちであるため、たくさんの大型帆船、ヨット、軍艦などが停泊し、米国の海洋史を感じることができる。
今日、イーストボストンはまちのホームタウンとなった。昔から住んでいる人も新しくやって来た住民もここに集まってくる。ポルトガル、エルサルバドル、イタリア、アフリカンアメリカン、ベトナムなど、様々な人たちが集まってくる。
ここで営まれる商業は、近隣の人たちに飲食店、食料品、日用品、美容室などの日用サービスを提供し、そして働き口を創出している。住民は、必要なものがメインストリートで満たされることを望んでいるのだ。
イーストボストンに隣接してローガン国際空港がある。ローガン国際空港は東海岸で最も混み合う空港の一つだ。そのため、イーストボストンのメインストリート活動は、空港の近くにあるという立地条件を売り物にして、その便利さを活かしたビジネスを誘致することにした。
再活性化活動に参加している人々は言っている。「我々のボストン地区には、ここを飛び立つ飛行機会社や空港に品物やサービスを納めている会社が沢山あります。現在も空港の近くに出店したがっている手荷物の修理会社と数ヶ月間かけて交渉中です。その会社は複数の空港会社と契約を結んでいます。イーストボストンに出店が決まれば、たくさんの雇用をもたらすことでしょう。それだけでなく、関連企業の立地も進むでしょう」。
イーストボストンにとって、空港のそばに立地すると言うことがメインストリートの活性化戦略を支えているのである。
今回はここまでとします。次回も引き続きメインストリートのマーケッティング戦略の事例をいくつか紹介します。
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