2.有限に生きる個と集団の相克
この様な複合的な消費性向を取りまく世界的な与件に対して一定の傾向を示し、我が国における今日の消費性向の実質的なリーディング層となっているのは、Yジェネレーションと言われています。彼らは1977~1990年頃に生まれた10歳から24歳まで位の方々のことを言うようであります。いわばポスト団塊ジュニアの世代と言っても良いかも知れません。
世界の中でも恵まれているようで不況感の中にあり、社会が何となく生きる目標像を失った時代に物心が付いて、何となく感動の少ないエネルギーの起ち上がりの少ない、クールな感覚が当たり前のようになっている世代であります。多様で秩序なき世相に対して醒めた視線をもつ部分にこそ、彼らのシンプル・ライフ好みの生活態度が生まれたのではないかと思わせます。自らの感性や本物に対する識別感に自信を持ち、真に好きなものにはお金を使うものの、絶対に妥協をしません。そして自分にとっての心地良い空間つくりにこだわります。そして人生の選択肢が豊富なことを背景に、生き方や自分らしさに対して真剣ですし、大人をしっかりと観察もしています。
その結果、彼らは本能的と言って良いくらいに、日本はもちろん世界の将来に関する不安を感覚的にもっています。自然や気象の異常さはこのままでは済まない地球社会に漠然とした段階ですが、強い不安を抱いています。そして集団的行動には殆ど信頼感を持てず、しかし目に見えていない部分には、どうも何かがあるという不確実性のある感覚をもち、物的有限に際しても、不信感をもって社会を観察する風土をもつ世代のように思われます。
有限が確実に視線の中に入ってきたものの、国家が力を合わせて応答するとは,とても考えられない世代ですが、他方では有限に適応する国家や国民のもつ複雑性の本質が,実は人間性そのものであり、若しかすると自分たちの世代に確かなものを,獲得する機会があるかも知れないと思っている様子も感じられます。
冷静に事態を観察して,新しい時代の波動に適応する感性を持った世代であり、個としての自由と平等の中に自己特性を際立たせようと思う自己と、何らかの集団の一員としての個が探求しなければならない部分とが創造されてそれが相克する自己矛盾を内に秘めたまま新しい基本的な転換を心待ちにしている世代が、Yジェネレーションであるとも言えます。
激変する人間を取り巻く有限という与件に適応するために、不確実な時代の方向つけをまっているとも言えますし、多様な可能性の満ち溢れる中に自らの人生に対する自由な選択を求める世代でもあり、自己の熟成と適応のための協動性に,ある種の限界感をもつものたちが、現実の消費をリードしていることに注目しなければなりません。
この様な世代が、不確実な時代の我が国の消費性向をリードしている実態こそ、商業者が本質的に理解しなければならない、消費者に対する貢献の重要な使命と考える必要がある時代が、やって来てしまったように思います。
つまり物的充足や消費ではなく、内的な多様性のある欲求に応えてくれる商業機能を求める消費者が多くなり、先行するY世代にその片鱗が見えるに過ぎないと思う時代に来たように思われます。
言い換えれば、人間の意志ある波動による多様な影響力は、複雑な現象を引き起こしたり、成果を不確実にしたりする状況を作り出しているとすると、人間そのものである消費購買動向は、人間の心のもつ複雑性に対する解明や消費者が意志する背景を解明せずして、対策立案はあり得ない状況の時代が来たように思われます。
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