グラビティ・モデルが物語る商業立地の変貌

 ライリーモデルやコンバースのモデルなどグラビティモデルの一つであるハフ・モデルは、昭和40年代前半から最近まで、商業の競合状態を解析する手法として広く使用されてきたものです。表:ハフ・モデル(表1)の構造のように購買確率は商業力の大きさや魅力度に比例し、到達する抵抗度や時間に反比例すると言う簡単な構造を持つモデルです。
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 現在のように商業力指標が各地で過大になり、適者生存の様相を示す様になるまでは、都市の商業施設の競合状態をよく説明するモデルでした。最近では需要の予測に使わないでむしろ地域における商業機能の特徴的特性を解読したり、対策を立案するために使用されています。


 商圏規模別に都市の時系列的な商業指標や地域の消費吸引率の実測値に収束させたハフモデルの商品群別交通抵抗パラメーターの時系列的な動態を観察しますと、どの商品群に対してもパラメーター値は大きくなっています。そして商圏の規模が大きく、パナー指数が高い商圏ほど、そして買廻り性の高い商品群ほどパラメーターによる消費吸引率の減衰率は大きくなり、ここ数年は特にこの傾向が強く現れています。

 このパラメーターの値は、商店街の魅力度や、目的商品を取得する心理的負担性を表す指標として読みとることになりますが、その値の減少や平均化は、消費者にとって都市の商業機能の魅力が薄れてきたこと、あるいは来街消費するための心理的抵抗感が増加してきたことを示しています。つまり消費者は購買のため遠くへ移動する意志が薄く、又その必要を感じていないこと示しています。ここ数年の間のパラメーターの動き(表2:ハフモデル商品群別パラメーターの動態)は、その傾向が進んでいることを示しています。
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 このことは広域商圏の中心部に対して、競合可能な商業機能が傘下の低次生活圏の地域に数多く立地し始めて、広域商勢圏の中核地域まで時間をかけて出掛けなくても、どこの居住地の近辺でも同種の消費が可能になったこと、ライフスタイルの強い消費性向を持つ世代(表3:各世代ライフスタイルの特徴、参照)は、必要と思う商品があれば遠くまで足を伸ばしますが、一般的な日常生活に必要なものは全て近隣で充足していることを示しているように思われます。つまり単なる量的競合の時代は去り、現在の消費者は、現在の商業施設にはレジャー性を期待していないものと見なければなりません。
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 現在では地域にとってやや過剰な商業機能が郊外を中心に整備された結果、中心部の衰退が生まれ都市の総体的な性能は低下し、本来、市民特に生活弱者等が都市という一つの機能から受けるべき恩恵は薄くなり、都市計画の混乱を招き、産業の活動規範など新しい秩序がここにも求められる様になったということになります。【図1参照】
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 そして我が国における産業構造が大きく揺さぶられている現況では、各産業間の関連行動、即ち産業活動が商業活動にどの様な因果関係を持つことになるのか、インターネット・ビジネスが商業活動にどの様に影響するのか、少しずつ解りかけてきた状況では、まず、消費者に対するもっとも大きなサービスは、商品知識に対する豊富で突っ込んだ情報の提供(アドバイザリーサービス)や、消費者自らが半製品を工作して個性化することが可能な環境(プロシューミング施設)を提供することや、あるいは消費購入だけでなく商品の使用環境(スポーツショッパーテイメント)の提供などにに頼る以外にないのかも知れません。その提供の中から次のMD(街の商品政策)が生まれてくるように考えられます。

 また、刮目しなければならないことは、ほとんどの家庭で新しく欲しい物がなくなっている中で、主張を持ち個性を持った商品には消費者の爆発的な集中が観察されることです。
「表3:最近における各世代別ライフスタイルの特徴」にも見られるように、20才代から30代前半世代に見られる、自分への投資意欲や個性的主張のために役立つ商品群への集中傾向です。しかもこの集中傾向の継続する期間は、極めて短期間で時として2~3週間で終了するといった傾向を持っています。

 この様な時代における商店街の営みは、絶え間ない商品情報や技術情報の氾濫する中でこれら商品群の潜在的に持っている傾向をいち早く把握し、消費者の創造的な要求にいかに応えるかが勝負になります。これには販売実績情報を常に分析し提供すべき新商品に対する脈絡即ち商品化政策をつくりあげなければなりません。単体の魅力的商品を探すのも大切ですが、商品群に関するコンテンツづくりが大切です。これには、商品群の販売実績データから「フラクタル次元」を求め「自己組織化システム」として商品仕入れの方向性を模索するなど、新しい技術の適用についても検討しなければならないでしょう。地域特性に合致する魅力的な商品コンテンツをつくり、商品の寿命が予測され商店街として議決し、これを構成員が分担するという、商店街コミュニティの形成こそが、新しい時代の商店街のように思えます。そして、商店街コミュニティの意志をもって商勢圏内市民にアピールすることが大切ではないかと思います。

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