マクロ・プランニングの限界とマイクロ・プランニング

 ここ数十年にわたる高度かつ安定的な経済活動は、土地本位制や終身雇用制あるいは護送船団的な公的指導体制に支えられて常に拡大してきました。この様な高度成長が進展しているときは、経済社会は善し悪しは別として一定の秩序に従って活動していたため、一定の構造式や簡単な物理学のモデルを社会現象に適用しても、充分に説明することが可能でした。しかし安定成長やむしろ経済が低調な状態に移行してくると、そこにはもはや巨視的な立場をとるマクロ解析が可能となるような、経済活動に必要な水準の秩序は当分整備されそうもありません。
 すると、一定の秩序によって構成されているとした商圏構造を、構造式に直して未来予測をしたり、競合などの力関係を分析することが可能であったマクロ手法による解析手法は、新しい秩序の構築が可能になるまで難しいことになるでしょう。

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 この様な事態を迎えている現状において、社会的かつ時代的な特徴といえるのは、やはり自己実現に向かう知的活動が模索される時代です。その結果、日常生活の主要なシーンにも個性化や自己実現を求める時代となり、その展開が個性的な「まちづくり」を育成するものと考えられます。
 特に一定の生活充足感がありながら、新しい世紀の動きが不明確な中で市民は本能的な感覚で自己実現を求めるようになりました。そこに求められるツールは内的要求を物的な物に比準して解決に近づく様式を採ることになります。言い換えれば、視覚から始まり、次いで聴覚、嗅覚を働かせる機会を求めて、自身の要請に応じて活動し、海や山に自然と人との交流を望み最も身近な商店街の散策に内的な調和を求めることになるでしょう。

 そのとき、まちに存在している文化的、個性的な資源を抽出し、街の部分部分を大切に活かし、一つ一つの建物や空間を市民の手によって評価し、修復や再生策、開発部分、再投資する部分など具体的な対応策を模索しながら市民の手によって制御される形で、個性あるまちづくりの計画を進めるという「マイクロプランニング手法」がクローズアップされるでしょう。【図2】
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 空間の専門家や意識ある市民の手によって、この手法は市民全体の共有のものとして具体化され、様々な努力の積み重ねによって確立していくべきものと考えられます。地域文化はこの様に市民自らの手によって、コミュニティ全体として支え合ったとき、主張を持ちはじめ個性ある商店街として、消費者の要請に応えられるものになると認識しなければなりません。商店街の構成員自らがまず立ち上がり、消費者、市民に積極的な支持を受ける商店街はいかにあるべきかという商店街組織の中での対話があって、更に具体的方策について協同の働きを持ったとき、地域の活性化は始まり、文化は特性を持って瑞々しく生まれてくるように思われます。

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