既存の年間イベント計画の骨子を評価する
商店街における年間催事、市、バザール等のイベントには多様な歴史があります。バザールや市は、農耕民を中心として発達し、その周辺にある程度の都市民の出現がみられるようになったこと、農民は都市民などに収穫の一部を提供できる生産基盤の安定や成熟がみられるようになったことから発生したと言われます。両者の間にある個々の動機に基づくバザールでの売買を通して、農民は新しい財や経済活動に対する新しい行動様式を身につけ、貨幣経済の浸透を促進したという経過が見られるようです。都市の発達はバザールや市の発達を促し、局地的な市場ネットワークが形成され、さらに広域にわたる経済的結合の網の目がつくられていきました。バザールの売買をなりわいとする人々の中には、各地の市を巡回し特産物の取引を行う商人も出現してきました。
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このようなバザールや市は、都市と村落の人々の相互交流の場でもあり、モノと人の集散の場、情報の集散の場でもあった訳です。バザールや市が開設された場所としては、社寺の庭、門前、宗教的な権威の下に保護された場所、広場等があげられるように単に商業的活動のセンターであるばかりではなく、そこに集まる群衆を対象とし、また彼らを主人公として、その地域の多彩な催し事が繰り広げられる場でもありました。人々はそこで、モノの売買ばかりではなく、一種の興奮をよびおこす雰囲気を味わい、自らもそれに参加する悦びを味わうことになります。
特に村落の人々にとっては都市と市(いち)は、村落社会の伝統や秩序から離れて未知の人と出会い売買のかけひきなどを通して、村落の日常生活では経験しえない体験をする場でもあり、その点では非日常的でもあり、バザールがある時はいつでも誰でも参加できるという日常性もあり、そこには帰属すべき秩序が一時的になくなったり緩んだりする自由度の高い面白さもありました。
バザールは一面において、人混みの雑踏や騒音にかこまれた偶然性の中で売買を成立させて経済活動を行いますが、こうした側面を構成する要素は、まさに祝祭を構成するそれと同様であり、ここに市(いち)のもつ祝祭的性格という点が着目されます。社会的休日あるいは宗教的祝祭日が重なり、さらに人出がふえ非日常性が増すことによって、バザールのこうした局面は、縁日やカーニバルへと連続していく様相をみせてきます。 当然そうした場には見世物、芸人も登場し、見せる者と見る者が一体となった大道芸が展開され、このようにバザールやその周辺には、祝祭的・芸能的な構成要素が認められます。
またバザールや市(いち)は、その社会の基層文化を陳列する場のひとつであるともいえます。アフリカの市などでは、マーケット・マザーと呼ばれる女性が、タバコなどを商いながら占師やある種の宗教的職能者をつとめることなどがみられます。解放感、期待感、猥雑感も、市や都市の重要な雰囲気です。こうしたさまざまな要素が十分に発揮されることが、イベントに活況を呈することになります。
そこでこの様な背景を頭におきながら、当該商店街がすでに実施している各団体主催の催事計画の詳細を把握するため、開催日時、主催者、協賛者、開催テーマ、狙い、動員数並びに複合して発生する波及効果等の詳細計画と実態を調査します。
その上で当該商店街の商業政策からくるテーマとの連動性(表11参照)を評価します。融合の軸性をつくり調整ポイント(表12参照)を確認して、地域の風土や特徴的特性を展開する効果的なイベント計画の骨子を仮に策定しておきます。その大筋は次のようなものです。
商店街におけるイベントは表13:市内主要商店街における主要な歳事イベントの実施状況に示すように、季節歳時、伝統的市、地域の物産の産地直送販売など、その地域の自然風土、産業物産に関わるもの、あるいは、商店街の個々の経営に影響を与えないファッション、雑貨、骨董などのフリーマーケット的なものなど、とかく個性を失いがちな商店街のMDにとって特徴ある販売促進効果を持つイベントを工夫します。
しかし、これらの実施水準はどこまでも販売促進の位置づけで行われており、一過性が強く、この活動の中から商店街MDを育成するようなシステムが欠けています。イベント活動には地域商業の将来の種子(シーズ)となるような特徴ある地域産業活動や、小商業者の起業活動などが存在しており、これらをインキュベート(孵卵)するシステムは地域商業の個性創造と活性化に欠かせない要素であると思われます。このための効果的なイベント計画の骨子を以下に計画化し策定します。
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