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地域にある文化的資源、地域文明に育つだろう資源を再評価する

 新世紀が始まる少し前から、新しい世代が中心となって世相は大きく価値観を変更しつつあります。この世代は新しいライフスタイルを求めて試行錯誤する幅が大きく、納得できるまで模索を継続して行くでしょう。この人たちの価値観の模索範囲は大きく拡がっています。
 新しいライフスタイルを模索して、これから得られる生活感覚や感性にフィットする活動を試行してみて、様々な反応を重ね、未来を考えたり、足元を見直したりして次なる模索分野を決め、更に次の経験を選択してゆくでしょう。このときの基調は、知的な創造性であり個性化なパーソナリティであって、その成果は複雑な系というかフラクタルな指向性、つまり一見すると無秩序な展開性を持っているように思われます。
 私たちは今後もその中に隠されたフラクタル次元というような、原因となっているいくつかの精神的要因を求め続けなければなりません。それに的確に対応することは、実は中心市街地の活性化策の本質に迫ることになるかも知れないからです。

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 経済活動がステーショナリーな様相を示し始めると、多くの市民に強いストレスを与え、その影響は広い範囲の関連領域に様々な影響を及ぼしますが、文化的な価値観も例外ではないように思います。新しく形成されるその時代の感性や知性が、その時代々々の文化的価値を決めるという側面もあるでしょう。

 市民の多くが一つの公有の空間でもある中心市街地に誇りを持ち、市民のアイデンティティとしてこれを愛してゆくには、共有の空間づくりに参画することがまずは重要です。先ず第1に、まちづくりの成功には市民の参画が必要だと云うことです。 
それもできるだけ広範囲の市民にどの様な体制でどの様な交流を持ちながら計画を決めるのか、管理運営に当たっても様々な交流上の工夫が最も大切なことと思われます。

 例えば、地域をよく知っている文化財委員会などを通じて、地域の生活様式に支えられた特徴ある文化資源と、スピードある技術革新の時代に生き残る文化資源の発掘を実施しなければなりません。これらを基に地域文化や歴史的なライフスタイルの流れや特性を検討して再評価(表14:コミュニティにおける文化環境の環境因子マトリクス 参照)し、活用すべき諸点を把握します。それらは、活性化コンセプトの歴史的精神的背景として活用し、商業政策と地域計画の文化的融合の起点とします。
 こういった視点から、以下のように活性化策の方向を決める文化的かつ歴史的な背景を探るための方法を事例として挙げてみます。
 
1)街並みに見られる景観やアメニティ資源を探る
 最近の街には、はっとするようなお洒落なお店や、街並み全体を引き立てるようなそして、ホットしたり、しっとりとした空間が見られます。これらの施設や機能は街の大切な活性化の資源ですし、活性化の種子になるものです。今のところ、街並みの総体の中ではあまり目立たないのですが、活性化という大切な植物の種が薄暗い土壌の中で、何時の日か芽を出して勢いよく成長する機会を待っている、早く水をやり光を当てて身を伸ばし、花を着けて実のなる日を待っています。

 街並みや地域にある目につく文化的資源、歴史的な資源をしっかりと計画者の眼、そして市民の目で認知することは大切なことです。これらの情報をこの時代に合う適切な手法で市民や商圏内市民の「夢の表現」につなげる方法を、地域コミュニティの形成のため、工夫し討議しなければなりません。
 地域固有のユニークさなどの特徴になりそうな特性を見出し、街のもっているアメニティや文化的資源のシーズを発見することになります。これらを調査し討議し整理することによって、地域のライフスタイルの特性を発見したり方向づけにトライしたり、市民活動の背景にある内的な特徴を認知し直したりすることになります。

2)歴史的資源や文化機能との連担性を探る
 まちなみの全体像について市民は包括的な理解をしています。商店街や中心市街地の持つアメニティとよく言われますが、商圏内にすむ市民にとって、ある街の魅力はもちろん、消費のために魅力的存在であることは間違いないのですが、それだけで魅力的存在と理解しているわけではありません。

 インターネット上で商取引をするいわゆる「E-ショップ」は益々発展して行くでしょうが、そうなればそうなるほど街の魅力は市民にとって大切な空間になります。そこは単なる交流の場だけではなく、市民たちが長い時間をかけて選択し創りだしてきた空間であり、その空間は市民の心が、気持ちや想いが創りだしたものであることを知っているからです。
 その様な立場から街を見ると、現在の街はまだもの足りない点が多くあります。近代技術や経済活動を基準にさっぱりとして特徴を持たない街もあれば、何か荒々しいというか、急いでせき込んだような街なみもあれば、成熟した美しさに輝いている街もあります。
しかし、市民が日常生活のため頻繁に使うまちは、市民の気持ちに実に大きな影響を与え様々な貢献をしています。それは市民の心の奥深いところにまちの景観の持つ波動が影響するものだからです。最近ではようやくこれらの側面に投資を始めるまちも多くなってきました。

 この様な意味あいからは、まちの随所に残っている市民やまちの歴史的な経過と資源をもっと積極的にまちづくりに活かされなくてはなりません。そこには新しい感性の豊かなまちが活き活きと活動(動)しており、そこに至る道筋には静かでしっとりとした歴史的空間(静)に触れられて一日々々の生活時間に豊かな潤いを与えます。市民が営々として創り上げたこの街並みを商圏内市民は選択してもらうことになります。
 この様に、まちの持っている歴史的、文化的資産を市民は折に触れて発見する感動の空間として連担させる必要があります。市民や専門家が協調して調査された資料を基に、市民がまちを歩き散策するストーリーが想定され、そこに必要な補完措置が計画されてゆきます。なるべく多くの市民がこの行程に参画し市民のまちを愛する気持ちが集団的な動きに進んだとき、その達成はほぼ間違いないでしょう。

3)地域の環境要素を探る
 このように都市環境・景観を構成する資源の発掘と実現の行程は、街の財産となり、地域の誇りとなります。これらの活用やプロセスは、地域の郷土愛を深め、美しい街並みをつくるきっかけとなるでしょう。そのためには、更に多くの環境要素をまちなみの中から発掘しなければなりません。その手法として考えられるものに次の二つがあります。

景観要素フィールドサーベイ
 市民と専門家がまちを歩く風景が見られますが、これは大切なことです。環境要素として客観的な解説が続けられ景観要素の評価軸が示されて討議が始まります。これらの調査結果に対してKJ法を実施して対策をグループ化したり、言葉のピラミッド法によってコンセプト化したりします。また、CTP法によって対策に戦略を与えます。
主成分分析等の多変量解析による方法
 最初にデザインされた環境要素の調査フレームによって得られたデータを対象に主成分分析法により環境要素となる主成分を導きだし、これにネーミングします。これによって導き出された主成分は環境要素の中の一つ一つの特性とその重さを与えます。この結果と前述各種の解析結果を合わせて環境コンセプトを定め対策の実施方法を戦略化します。

4)街のイベントを活用する
 地域の文化活動や祭事行事は、都市の記憶を伝承し、世代間の交流を深めることになります。四季折々の特徴あるイベント行動は、世代間の心をつなぎとめ、歴史ある文化の継承と共に市民生活に潤いと熱い思いを提供する機会となります。
 様々な地域催事は市民にとっての季節であり、生活の中の年間行事として結節点となり生活創造のきっかけをつくり街に賑わいが生まれます。これらのイベント催事は、さらに生活と密着して朝市やバザールとなって市民生活に幅と奥行きを与えます。まちづくりには、この様なまちのイベントと融合した側面を活用することが大切です。ここでは一つの事例として参考までに注意事項として列記してみます。

1/生活圏市民を挙げて参画する「伝承や民話はなし」のあるイベント計画であること
2/気風や風土を浮き彫りにする歴史的事象を再現し伝承するようなイベント計画であること
3/市民サービスに対するまちの性能を、日時を限定して改善する様な狙いを明らかにしたイベント計画であること。特に中心市街地の商業政策とフィットする計画と反対の側面を持つイベントとは、例えばまちの文化的奥行きを増幅するようなハッキリした意図を持って計画すること
4/市民の支持を判定するため一定のコンセプトをもって修正デザインが可能な体制のもとにあること
5/市民生活のリズムとピッチにフィットするイベントづくりが重要であること
6/地域の持つあらゆる文化的機能と質的に連動する様なネットワーク型イベントが望ましいこと

5)まちづくりの景観コンセプトを包括的に再構築する
 与件条件や環境の変化の激しい都市ほど、文化資源を捨て去る傾向にあります。世界の動きが一段と早くなっている昨今では大変難しいことですが、中心市街地も一刻も安心できない速度を要求される時代になっています。
 しかし、そうだからと言って、拙速で行うべきことではないと思いますし、景観や市民の居住環境が市民や子供に与える精神的影響は一刻もゆるがせにできない事態になっていることも事実です。
スピードある技術革新の時代に生き残る文化資源の発掘し、それらを活していくことは、まちづくりのコンセプトに歴史文化的な意味合いを深め、普遍的な価値ばかりではなく地域の特徴ある個性的な景観をもたらすことになります。市民が望み新しい時代が要望するだろう地域の歴史的、文化的資産を活用し豊穣な地域空間を創り上げるために市民に提供するたたき台の「説明の根拠とつながり」を解りやすく用意しなければなりません。時代はマクロなコンセプトとミクロな具体性のある計画との間をつなぐ確かな説明力の時代になっています。
 多くの市民や商圏内市民の積極的な共感のあるまちづくり政策の具体性とそれらの関連づけのため、今まで追ってきた経過を簡潔に取りまとめます。
 「なぜこのような基本政策が必要でこれを達成する具体的な施策はこの様な具体性を持ち、これを達成するために必要なことは何々です」と言うことを説明し、「変化として読みとれる対策はこのようです」とワークショップを開催して協議を始めます。
このとき当所が多く使用している手法としてCTP法とWBS(次回更新時以降解説掲載予定)があります。

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