地域モラル、事業化の主体者とリスク分担(資金、技術、情報)の方策を考える
適正な事業化を考えるには、市民や消費者にサービスする、地域における商業機能の性能など生活便益機能の特性化、商店街の商品化政策あるいは活性化に有効なイベントや文化的資源の再評価とその融合策などのアイデアをもとに、実現可能なまちづくりのための施策をリストとして整理します。これらの各施策を成功させるためには、更に必要な調査や解析、計画、補償費及び整備費などの必要資金を推定して、大変な概算値ではあっても事業費の規模の概要を推定しなければなりません。
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色々な話し合いや、計画の変更や成立性に影響のある事象が出てくる度に、常に事業費の規模や仕組みを概要ではあっても把握しておき、調達の手段や採算性を頭におく必要があります。これを知っている事がスクリーンとなって、目の前に展開する事象の適否や成否が判別されるのです。これらの判別された情報をもとに事業化のフレームを常に工夫し続けていることになります。
資金計画づくりには、補完が必要な調査は何かとか、解析結果や商店街の活性化方針のたたき台等に関する関係者の討議段階があり、続いて計画シナリオ等の検討段階があり、多くの権利者や行政の参画のもとの具体な整備イメージづくりや、権利者を中心として関係者に関するリスク分担の考え方や初動資金の負担方式、あるいは各行程の事業主体はどの様な仕組みにするのか、中核となるリーダーには誰が最も適切かなど多くの協議を重ねる各段階があります。
従って長期にわたる事業化の、どの時期にどの様な水準の情報が必要か、その入手方法はどうするか、問題を絞り込み戦略的統合をする技術はどこにあるのか、それぞれの費用はどの程度必要か、市民の参画方法や企業参画者の募集手続き、初動資金の調達方法等々について工夫し、これらを時系列的な資金計画にする必要があります。これらのために必須となる計画、統合技術、生きた必要情報、初動資金の調達あるいは集団化する手続きなどに関して、その円滑な進展を図るためには、行政の協力はもちろんのことですが、民間の専門家の参画がどうしても必要になります。
バブル華やかな経済情勢のもとでは、成功するか成功しないか全く解らないベンチャー性の高い事業にも、多くの専門家や専門企業が手弁当で参画を競い合う状況が見られましたが、バブルの崩壊後の現状ではリスク分担の秩序が崩壊してまだ新しい秩序の再構築には至っていません。従って力ある企業が参画したとすればそれは大変幸運であったことになります。
そうだからと言って立地を失う可能性のある商店街や中心市街地が手をこまぬいて時機だけを待つというだけならば、恐らくは立地は喪失したままになり、その回復は大変困難なものになるでしょう。後から事情が変わって、遅ればせながらどうしても回復させたいとすれば数倍から数十倍の投資が必要になるでしょう。その困難さに比較すれば、商店街や中心市街地を構成している権利者は結束して立地維持と向上のため立ち上がらなければなりません。その方がずっと投資効率がよいからです。
従って、手づくりによる市民の文化活動や、自力で切り開く街づくり活動などは1つのコミュニティとしての市民運動です。都市生活の経験豊富な知恵者である市民のエネルギーを小さい組織でネットワーク化しながら、大きく巻き込んで力強く展開させる地域のオピニオン・リーダーの発掘と登場が重要です。
このような市民運動によって、特徴ある市民の街、こころ豊かな文化の触れ合いやちょっと冒険的で刺激的なおしゃれな街空間として情報を発信するステータス・シンボルとなりそうな地域固有の特徴ある街環境を市民のこころざしの醸成とともに整備してゆくことが重要となってくるのでははないでしょうか。
この様な市民の熱い心が放射する波動は、大きな輪となって拡がり行政はもちろん多くの専門家や専門業界の人々の心を打ちます。地域の主権者である市民の熱い思いがこれに協力する専門家や企業の参画を呼んでくるでしょう。よい建設的な波動は合い似た波動を呼んで様々な問題を解決し困難な集団事業の基本的波動を決定づけるでしょう。つまり中心市街地活性化に向けてののコミュニティ活動やネットワークの強弱によって永い事業期間中の事業主体の性格を色づけることにもなり、結果として民間企業の参画意欲を決定するでしょう。
一方、最近のまちづくり事業はコストパフォーマンス(事業のスピードや投資対効果率)が要求される時代になりました。また一方では不透明な将来を反映して市民・住民及び関係権利者の期待受益や不動産の運用限界感から意志決定や判断のための反芻時間が増大しています。地域市民や権利者の未来像建設のための意志決定にかかる熟成期間とコストパフォーマンスの間で対立が生じ、企業参画者には多くのリスクが発生する可能性が出てきます。 (参考/表15:プロジェックト評価指標の基本項目の事例、表16:市街地再開発事業における民間企業の参画リスク分担の例)
この場合最も大切なことは、まちづくり行政を始めとして、地元事業主体、コンサルタント、プロジェクトマネージメンツ(プロジェックトの計画的・継続的管理・運営活動)並びに事業参画する民間企業等のリスク分担の適正化計画を構築し、段階的に合意を得て行くことです。この適否が事業化へのエネルギーを結集させるか否かを決定づけるからでもあります。(表17:再開発事業における事業主体、行政、参画企業者、コンサルのリスク分担イメージ)
地域の「まちづくりは誰のものか」という命題は、受益者とか原因者とかによるものでは解を求めるのも困難になるでしょう。総ては循環しており因果関係をもって決め手とすることは難しいでしょう。しかし、結局の所それは商業者のためであり市民のためであり、結果として自治体のものであるでしょう。中心市街地市民や商業者が中心となって自治体と一致協力して立ち上がり、その結束と熱意が色々な制度に裏打ちされて呼びかけたとき、総てを超えてリスク分担が可能になるように思います。以下に市民の発意によって自主開発の誘発を導き活性化整備機構への参画の流れを例記します。
■図18:市民発意による自主開発誘発への動機づけ活性化整備機構への参加
1)地域生活圏内の各駅勢圏整備に関する市民コンセンサス活動
(パブリック・インボルブメント)
↓
2)各駅勢圏中核機能の整備方針の合意
↓
3)公民パートナーシップによる(詳細化した課題について)役割分担の提案
↓
4)市民による自己建設・自己運営を主軸とした開発計画の策定活動
↓
5)プロジェックト・マネージメントによる投資効率、効果分析診断
↓
6)解決すべき課題の発生と活性化整備機構の必要性の認知活動
↓
7)活性化整備機構設立への資本の募集、融資等の導入
↓
8)活性化整備機構などによる建設・運営並びに融資等の斡旋、助成支援
↓
9)事業の成立性の向上
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