消費規模からみた投資規模はどの程度か仮算定する
地域が持っている潜在購買額(地域商圏のもつ潜在的な購買額)に対する地域の新しい吸引可能額は、地区別の商業機能の実力並びに実現可能な吸引施策の評価から与えられる吸引能力によって当該商業地へ配分(場合によっては獲得競争であったり、まちのMDとして協業体制のもとに配分されたり)されることになります。
この配分は結果として、魅力ある消費機能として市民に支持される度合いによって実現し変化します。いわば地域商店街の将来を決定つける極めて大切な決定でありプロセスということになります。
この行程は、6-1以下に記述する商勢圏の特性或いは大型店や商店街の販売シェア、競合状況を解読して当該地区の吸引可能額を推計しその精度を判定、更にまちのMD等の再評価をもとに、専門家を交えて実感のある現場の判断と協議しつつ、地域・地区商店街の再生目標の基幹として、各構成要因間の融合の中からありそうなシナリオとして設定することになります。
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<モデル都市中心市街地の商業機能整備像シナリオの設定>
6-1のモデル都市の特性の読み取り結果と5章-2-1における「まちの賑わい計画の対策項目」を勘案し、目標とする中心市街地の商業機能・性格を仮設定(シナリオ化)し、この目標整備機能を確保するために必要な施設規模と想定消費必要売上げ高を仮推計し、商業機能のありそうなシナリオを設定します。 (参照:5章5-2-1「まちの賑わい感の量的限界から目標値を定める」図表11「まちの賑わい計画の対策項目」)
ア.中心市街地の商業機能整備像のシナリオ
「概略シナリオA」
:コア機能としての大型店舗整備と中心商店街の積極的再編整備のもと地方生活圏もしくは複合二次生活圏中心街区形成を図る。
C市郊外の大型ショッピングセンターとの競合はあろうが当該A地女性、特に30代から40代女性に対する衣料業種を中心とする関連波及商品業種で、かつ当該商業地の性能のポジショニングの積極的上昇を目指し価格買回り系(実用系)を主とし、価値買回り系を従とした業種構成を強化する積極的展開としての業種業態構成の再編。
この整備目標は現状での特性強化や課題の解決ありきでかつ競合分析で用いる商業力魅力指標の一つであるパラメータ(α)を向上させかつ東西街路の整備完了及びE市F町からの交通抵抗の緩和整備がなされる前提においての可能であろうと読みました。
買回総合商品は品目別シェアーが全般的に低い(市民ニーズに対してかなり不十分な状態)現状から東西街路の整備及び魅力指標の向上は大きく貢献しうるものであり、当該A市地元滞留率(歩留まり)を5ポイント(25%から30%)程度、D市、F町、G町からA市中心商業地への吸引率を平均的に3ポイント程度は加算確保の可能性ありと設定また、A市の最寄り品目別シェアーは高い状況(90%)にあるが、B市への買回り品購入のついで買行動が発生し25%程が流出している状況である。したがって、最寄り商品系の地元滞留率の上昇並びに市外からの買回り品購入でのついで買い行動の増加は期待できると設定し、主としてA市の地元滞留率を5ポントほど加算確保の可能性ありと設定。
(参照 表21:ハフ分析による現状吸引率及び吸引可能額)
「概略シナリオB」
:中心商店街を複合二次もしくは二次生活圏中心街区形成を目指し、ショッピングセンターと各商店街機能の回遊性魅力含めた補強整備により図る。
駅前での特性である通勤通学客の利便サービス不足をより強固にする最寄り系商品業種を中心とし関連波及店舗としての買回系業種の補強や飲食及び生活関連サービスを強化した業種構成への再編。このポイントはA駅前と東西街路への中心商業地の構造を改造し賑わい感、回遊性及び歩行者時間帯へのサービスを創出する前提において可能であろうと読みました。
買回総合商品の当該A市地元滞留率(歩留まり)はB市の強い商勢圏確保された状態でまちのMDの個性化強化やまちの賑わい感、イベントの企画・演出などで3ポイント(25%から28%)程度が確保できるがD市、F町、G町からA市中心商業地への吸引率はほんのわずかが加算確保の可能性ありと設定A市の最寄り品目別シェアーは概略シナリオBと基本的には同じであるが、駅前商業地立地としての特性を強くすることでの確保できると設定。
イ.モデルでの商業施設の目標達成規模及び売上げ高を仮推計する
このときの売場効率はほぼ現状の商勢圏内の平均的水準とし、買回総合で約270万円/坪、最寄品で約360万円/坪と設定。

この売上げ高を直接現状の売上げ高に加算できるとする場合は当A市の総合パナー指数が70から約73に回復した状況といえます。

この仮シナリオによって地区商店街の吸引シェアが再算定され、前に前提としたシナリオとシナリオ別の施策、更に目標の達成度評価を行います。もちろん市民の期待度並びに関係商業者たちの意欲や期待感への反応も、策定者ではなく運命共同体となる一人として施策の効果の判定をします。
この地域別・地区別吸引可能額と販売額ならびに得られるべき粗利益額の時系列推計額から、当該商店街が、その改善に向けて将来にわたって投資ししうる規模がシナリオとして算定されます。
この投資可能額及び用途構成、規模、必要施策は、既存の商業資源や交通体系などから判定される予定街区に、どの様に計画配置することが最も有効かを目安に検討の焦点をおくことになります。前述の6-2、6-3,6-4における各評価によって目標とした環境整備の巨視的な有効性や成立性を評価します。
その結果、この段階における地域別地区別の「投資策第1シナリオ」を選定しますが、決して決定的なものではなく、更に詳細な検討を進めるためのシナリオ選定ですから、必ず第2シナリオの選定があることを忘れてはなりません。常にシナリオを対比して与件の変化や新しく継続される解析結果を観察する態度が必要です。
この様な計画はスパイラルに徐々に精度を上げて検討を継続する訳ですが、次ぎの段階では、この行程で投資可能規模が推定され、更に投資可能な敷地範囲が方向つけられると、採用すべき有効な事業手法が想定されます。すると各種の公的支援措置、制度融資、事業システムによって時系列な投資分担の条件など整備方法等がシナリオ化されます。この様に仮説設定、解析、計画検証、詳細化行程を繰り返し検討することになります。以下に中心市街地の活性化に際する投資規模算定の大まかな手順を例記します。
[商店街活性化に際する適正な投資規模の算定エスキース手順]
注意)このエスキース手順は概略の方向づけを行うためのもので、成立性の判定指標にはなりません。
手順1:商店街活性化並びに再構築案に関する解析統合の基本角度
1)商店街の機能的特性、特に立地性能の現状と対策案シナリオの評価
2)活性化への商店街組織、会議所、行政支援性の熟度評価
3)主な道路負担率から判断される整備地区の基本的な性能評価
4)現状並びに将来の買回り+最寄り+他の消費の吸引可能額シナリオ
5)政策シナリオ別スクラップ&ビルド売場面積設定の戦略的シナリオ
6)整備候補地の地権者数、低未利用地、既存コミュニティの形成状態
7)商店街のメインエントランスとサブエントランスのウエイト付け
8)整備候補地の現状平均的地価、格差率並びに設置商業機能の想定
9)MD対策案+吸引シナリオ別整備候補地の敷地設定パターンの仮選定
手順2:巨視的エスキースの手順
1)MDから当該商店街における中核的機能の業種並びに業態の仮設定
2)整備予定の商店街機能による推定売上げ高と可能な店舗面積の概算
3)商圏内潜在需要額に占める推定売上高の占拠率の算出と適正化判断
4)年度別必要固定費或いは実質家賃の概算
5)商店街の活性化策による(再構築のための)投資可能額の概算
6)標準コスト等による建設投資ならびに敷地規模、要投資敷地費等の概算
この段階で第一次判定として、整備パターン別の効果と敷地規模の適正化を判断します。再検討が必要と判断される場合は必要に応じてその段階に戻ります。
この段階は最も重要な戦略的判断に属します。思い込みからの判断にならないようにあらゆる角度から検討を加えるべきです。しかもその行程は関係する権利者はもちろん事業参画者の賛意があり、高揚感を持って支持される行程が組み込めるか否かが、将来における成功へ繋がることを重視する必要があります。この検討で一応の判定を行い、活性化策として再構築する地域地区の配置パターンの正副案が用意されますと、さらに少し詳細な次の検討に入ります。
7)配置パターン別整備案の駐車場等必要台数・機能、規模の概算
8)立体駐車場に対する建設投資可能額の概算と収支上の課題の抽出
9)商業、駐車場建設費等の概算
10)負担が可能な用地費の概算とサークル型の検討
この段階で第二次判定として、現在価額として設定した平均的地価と負担可能な用地費との乖離状況を対比し調整するとともに、活性化機能の敷地設定シナリオや整備パターンの仮想定案を変更したり、これに伴って生じるMD政策を修正したりして検討し、討議して成功すると確信が持てる案にまで絞り込む必要があります。
もし、成功に確信が持てないときは、今まで辿ってきた行程を丹念にチェックしながら確認し、商圏内市民の消費性向やこれにフィットしているはずのMD政策から、再検討をし直さなければなりません。データの信頼性を見直し、解析結果の解読行程を見直し、斯界の動態を再観察して、消費性向の変化傾向を読み直してMD政策、商圏内市民の共感を拡大する手法、あらゆる方策を検討し直します。多くの見識ある人材と協議し再検討の作業は繰り返し納得がゆくまで続けられるべきです。
この様なとき、商店街はもう一度次のことを思い起こして見る必要があります。
今の状況では、「大規模な商業事業者は、高額な土地や店舗に多額な投資を必要とします。故に商店街に必要な投資額と異なり著しく多額な投資を必要としています」ただ商店街主の多くは生業になり、企業として営業する商業者が少なく、競合可能な集団が構成されていない故に競い負けしていることを重視しなければなりません。
こうして納得がゆき成功の高い可能性に自信が持てたとき、投資限界の規模シナリオ第1案、そして次善と思われる第2案をもって「活性化総合対策つきの適正な投資規模シナリオ」の第2次判定とします。
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