再生のため実施すべき施策方位を慨定する
商業立地や中心機能を失いつつある地域・地区の再生のための新たな展開方向としては、一つには大型商業立地の量的かつ質的競合への特化やその充実をめざし、地域商業者と一丸となり場合によっては集団移動もし、中心市街地コアエリアとして強い基盤を構築することに主眼を置くパターンがあります。
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第二には地域型都市の中心商店街では生活関連業務及び文化活動を主軸とする立地へ分極・特徴化させ、商業機能と連担して中心市街地コアエリアとして強く有機的結合するパターンがあります。
第3のパターンには立地ポテンシャルや集客動線から判定して無理な競合を避け大型の機能配置は取りやめて商店街通りの環境改善(単路部の整備と分枝街路)に主力を置くか等のパターンの中から、吸引可能な消費額や投資可能額をもって選択することになるでしょう。この選択は重要なものですから、これに連動する各種の要因との相互関係を忘れてはなりません。それは次々項で述べます。
1)事業化を検討する施策基盤となる対象商圏シナリオ
(一般例)
活性化策の一番根幹となる中心市街地の対象としている商勢圏の選定シナリオには一般的に以下に列記するようなものがあります。
A:22万人商圏の広域型機能のコア整備に向けて量的+質的競合のための整備大型店群の配置導入による商業街区再編成を計画するシナリオ
B:商圏人口15万人程度の地方生活圏型商業機能のコア機能整備大型店を導入し専門店群と併せて量的+質的競合を図るシナリオ
C:二次生活圏(単独圏又は複合圏)を商圏とし生活・文化機能の質的充実+まちのMDの再構築をSM+商店街再整備で図るシナリオ
D:現状機能の維持を目指し地域商店街の空き店舗対策等を主軸として質的・空間的魅力度の向上を図るシナリオ
(新規余力が都市間競合、商店主モラル、新期出店動向等から困難な場合)
なお、これらの大筋での仮設定シナリオは「5章2-1 まちの賑わい感の量的限界から目標値を定める」に示される図3:街の歩行者通行量と商品売上げ高の関係、表6:商店街通行量と時間変化パターンによる商店街の性格、「5章2-2 業種業態の配置に論理的計画的な背景を考える」での図5:生活圏構造、図6:商店街機能のポジショニング軸の例、図8:お買い物行動関連図例、図9:商店街における業種・業態配値の事例、表8:商店街における商品群シェアの現状と目標シェア例などを参考に、次ぎの段階で更に分析を詳細化し仮説・検証を行うことが必要です。
2)活性化策の補完対応策の予見
次の段階では、いよいよ活性化策の実現にとって何よりも重要な、必要となる事業の施行地区並びに適用する事業手法を、仮ではあっても設定することになります。将来には微調整はできても一度決まったものはなかなか修正が困難になります。慎重に選択したいと思います。
ここでもう一度、投資限界を算出した時に判明した活性化策に必要だった連動する事項から、補助的な対応策を列記して、その中でも時間がかかるため今から実施しておかねばならない事項について確認しておきたいと思います。
1.MDの先鋭化と新需要発生の地域市民に対する新サービスの発見
新幹線道路の整備によって新しく需要を開拓する商圏住民の消費特性を熟知する商業者が集まり多くの討議を重ねて専門家とともに新需要層むけのMDを用意します。新しく創られたまちのMDと併せて、今までの集合状態で造られてきた消費実態(品目別シェア)に対する改善策を用意します。それは目的達成のためには、大胆かつ積極的なMDと売上確保の保守性とを兼ね合わせていますが、総合的には鋭角的になっているでしょう。ただ科学的な根拠を持っているときは、不成功に終わっても直ちに変更の措置がとれることを重視しなければなりません。
この様なMD政策のもと中心市街地を構成する商業者、関係者は目標達成のため役割を分担します。この分担関係が適正に働くための構成員のモラル形成が、発起人にとって最も重要な仕事です。
2.投資限界は駅状況客の顧客化と新設道路の関数
新設道路の整備には時間がかかります。駅に近接した商業施設の建設にも時間はかかりますが、権利調整や財政上の問題もあって相当な時間がかかるものと覚悟しなければなりません。云ってみればこの道路を新設する時系列的な問題は、中心市街地形成上にも都市間競合上にも極めて重要な事項ということになります。また、駅の乗降客の方々に中心市街地の顧客として認知してもらうための施策も同時に有効に働くようにならなければなりません。
これらの対策と活性化策との時系列的な整合は、中心市街地活性化事業の根幹となり、その成否は投資可能額を良くも悪くも変化させます。動きを充分把握して不整合が起きないように留意することが大切です。
3.自治体と地域のコミュニケーション・ネットワークの形成
地方分権の時代におけるまちづくりは、自治体の大切な役割です。最近話題になっている自己組織化の重要な法則から見ると、自己組織化には、最も早く情報を掴む立場の方々を中心として小さな組織が多く造られると、その組織から自己組織化が始まるといわれます。自己組織では組織固有の行動が始まり、情報のネットワークを通じて組織間の連動が始まり連鎖して行きます。
多くの場合、集合の状態にある商店街構成員は日常の営業活動に追われて、把握するデータを有用な情報に変える余裕を持たず、結果として決して効率的な運営をしていない様に見受けられます。
このような見方からすると、商店街は様々な組織化を工夫し、必要なデータを情報化しなければなりません。そのためのネットワークを造り、その輪を市民、消費者に拡大する必要があります。
4.将来における事業参画者の参画可能性
前項でも述べましたが、情報のネットワークづくりは中活には大切な事業ですが、他にもテナントリーシング、テナントミックス、或いは権利変換、換地手法、精度融資の手法など技術的判断力のための供給源、或いは初動というか立ち上げのための資金調達手法の重要性があります。これらの参画者を求めるには、資金はもちろん、地区商業者や権利者の献身的なやる気が何よりも重要になることを忘れてはなりません。
5.商店街の付加価値を拡大するため回遊動線の確保と景観資源の活性化新しい時代の中心市街地は商業機能や業務機能、いわゆる文化機能の集積だけではありません。商店街の付加価値を高める市民、消費者の感性に訴える、そして更に知性に訴える静と動の景観や文化機能、居住環境さえも、今では訴えるものを持っています。これらの埋もれた域内の資源を発掘し連担するネット網を構築するものは市民の感性です。そして、商店街が市民や消費者の好みにぴったりとフィットするには、市民の感性環境づくりという意義つけと市民の協力とが必要になります。このための働きかけには多くの側面があります。商店街の構成員は討議を繰り返し、関係する系を十分理解してその輪を徐々に広げていくのです。
6.賑わい度形成に資する投資限界内の必要機能の有効な配置デザイン
投資限界値を算出し、投資可能な施行地区の範囲を慨定するわけですが、これに関係する要因を今まで整理してきました。細かいことは未だ一杯ありますが、徐々に精度を上げるつもりで、今のところシナリオとして保持することになります。
配置のパターンの一般例を頭において、投資限界シナリオの内容をしっかりと保持しながら、パターン別に図面の上に配置します。この配置デザインを我々は敷地デザインといっていますが、実は最も難しい判断で、多くの知識と経験による相当深い配慮が必要です。ある程度進んだ段階で後戻りが発生してしまうからです。専門家の力が必要でしょう。この段階では賑わい度をシミュレーションを使用しながら、どのパターンが有効かを仮に判定しますが、これはこの仮のパターンやシナリオがないと、検討が必要な水準の詳細に進んでいかないからなのです。
参照:投資限界を算出した段階で判明する活性化策の補完策の予見(事例
3)情報機能の整備に関する事項
これからは対策シナリオのいずれにおいても、コミュニティ形成上、必要な文化・公益的機能、生活関連業務及び地域型商業や地域産業おこしのベンチャー企業等の育成支援機能等を市民交流・行動の起発点である駅前地区に整備し、これらの活動を支える商業者及び市民ネットワークのインターネット・キーステーション等、双方向情報交流機能の整備を行うことが必要となるでしょう。
各施策方位の概定及び投資に関する市民・行政活動のエネルギーの融合化には、この駅前地域が市民全般にサービスする機能を提供し、活力ある街づくりに貢献する大きなトリガーと志すリーダーの存在とリーダーの方々の積極的コミュニティ再構築又は開発活動の展開によって、自助努力や支援が発生し地域住民のアイデンティティの醸成にむけて活動が始まるものと期待されます。
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