事業手法別に事業化の範囲を慨定する
前に実施した対策シナリオ別の投資限界値から可能性のある施行地区のパターンができました。施行予定となる事業地区のパターンは(行政や専門家の参画によって)ある程度の確度のある適用可能な事業手法として選別することが可能になります。各事業手法には事業として採択される要件が決まっており、その詳細の検討は後に譲るとしても概略の検討は可能です。活性化施行地区パターン図と活性化を成功裏に進めるために配慮すべき事項を横に置きながら適用事業手法を検討します。それには事業手法の特性を十分理解する必要があります。
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色々な事業手法を単独手法によるものとするか、組み合わせるか、どの様な時系列にするか、あるいはコスト・パフォーマンスの水準など大変多くの検討を要しますが、ここではパターン図のどれが実質的に採用可能かを、総投資可能額をもとに、投下資本やコストが低く目的達成が最有効な手法を選択します。
面的な整備には街並み再生区画整理手法を用い、立地構成力の構築には再開発を採用し、大型店の導入には活性化整備機構が有効かどうかを考えながら検討します。
事業手法別に事業化範囲の仮設定範囲から実施範囲を概定する段階は次ぎのステージ以降に実施するものとします。土地利用の実態、従前のコミュニティ形成状態、整備地域の土地利用構想、主たる用途機能配置シナリオなどをもとに、メイン・エントランス、歩行者等通行量の変化の推定、駐車場動線、荷扱い動線、その賑わい感の創出効果、事業としての採算性や、土地活用の変更に伴う権利移動やそこで土地を活用し営業や居住をしている方々の整備後の生活環境の変化について、大まかな姿を推定して、その方向性を判断することになります。
参照:表18:居住環境や社会環境基盤が住民ニーズに合致しない密集市街地等
このような検討においては、幾つかの整備シナリオがもつ地域・地区環境の改善による施設立地の向上度、有効な整備手法、開発行為に伴う既存の生活コミュニティや地場産業コミュニティ、権利者間のコミュニティに関する意識差、商業並びに住環境などの変化に対する対応も、土地利用構成と権利移動方法の課題と対策(事業の成立条件)を見出すために、包括的な検討ではありますが、何度も土地利用並びに事業計画エスキース検討を行います。この検討は専門家でも繰り返し作業が極めて多く、数ヶ月が必要とよく言われるほど大変になりますが、現代の知的訓練の進んだ関係権利者に対する説明力を大きく持つために、判断の過程を科学的に追い順序正しく説明することが大切だからでもあり、また、大切な資産の活用をある程度は任されるわけですから、慎重の上にも慎重に、かつ競合に勝つには速度も要求されることを重視して検討することが大切であります。
(これらのことを配慮して当所では「WEBARKS21」*、KJIG(区画整理・再開発一体施行用換地・権変計画即時処理システム)並びにJIG21(再開発事業成立性即時分析システム)、権利者カルテ・システム、「個店、店舗経営計画シミュレーション・システム」、「不動産経営計画SIM」その他のシステムを開発、活用してこの時間の短縮を図っています。)→ 参考解説へ
*注)ARKS21rtdバージョン:簡易操作による土地利用並びに街路・街区再統合・配置デザインから従前・従後土地資産評価、換地計画を自動化し、リアルタイムに分析するソフトシステムで、このシステムは、住宅街区整備事業、各種の区画整理や区画整理と再開発一体施行、敷地分割含む共同建設事業等の事業化分析を行う当社独自の開発シミュレーション・システムです。
(参照 表19.有効な整備手法の選択と計画エスキースのポイント)
ここでは、6-8-2.整備シナリオをもとにモデル地区での事業化の範囲を巨視的に概定(仮設定)することとします。「6-7.消費規模からみた投資規模はどの程度か仮算定する」の概略エスキース・モデルでの試算を材料にして先に述べた概略手法に従って施行地区シナリオを仮設定し、概略の事業手法を設定します。ここで予想されるシナリオの選定は詳細化したときの変化を想定して、下記するシナリオA、B、Cとか、シナリオB、C、Dという具合にグループ化することになるでしょう。
シナリオA:
車による主動線である幹線街路地区の先行整備を前提に、広域生活圏中核商業立地の確立にむけて既存の中心商業地である駅前ゾーンに大型SCを主軸とした面的整備を行う。主要幹線との接道部分に専門大店を主軸とするサブ・コアの整備を図り、復核の間を専門店街で連担するシナリオである。地域商業者はMD委員会の協力の下に自己選択し、移転入居や業種転換など商店街活性化のための業種業態再構築を行う。事業化の範囲は最大のものとなる。
(参照:図20・シナリオA:面的整備事業を主軸)
シナリオB:
地方生活圏の中核商業地の復権にむけて再生策として、駅前地区に大型商業機能の面的再開発整備を行い、商業者有志の駅前への集団移転と、この基盤であった幹線街路周辺地区の整備を行う。生活幹線から駅前地区への動線確保のため街路整備と併せて商店街の活性化MDに従った商店街再整備並びに駐車場の共用の駐車場整備などの路線型整備を行う。
(参照:図21・シナリオB:面的整備と商店街再整備を主軸)
シナリオC:
地域立地としてはMD政策で勝負すると共に、地域の特徴的特性をふんだんに盛り込んだ生活・文化機能の質的充実と、買い物関連行動への計画的誘発を前提として街路再整備と併せて専門大店+商業系商店街+飲食・アミューズメントなどの整備を基軸とします。この整備は枝状の目的街を構成しその連担性によってアメニティを構築するもので、文化的資産の活用やまちのイベント事業を充実しまちの賑わい感並びに市民の冒険心や交流期待への刺激を誘発させる再整備を、継続的に試み続けるシナリオである。この場合は中心商業地のエッジ部分に共同大型駐車場を整備するなど目的街の連担型整備となる。
(参照:図22・シナリオC:大規模な目的街商店街再配値整備を主軸)
シナリオD:
商店街の商品別シェアを深く広く解析して当商店街の突破口を模索し、目的に合わせて商店街の空き店舗対策を主軸とする質的・空間的魅力度の向上を図り、段階的な立地向上策のシナリオである。(新規出店余力が周辺都市間や新規出店動向から困難な場合)この場合は、中心商業地の生活幹線に近いエッジで共同駐車場の整備が重要である。
(参照:図23・シナリオD:商店街補完整備を主軸)
<モデル都市による活性化策の
手法別に事業化の範囲を慨定する数字のサマリー例>
■当モデル中心商業地のまちのMDの基本施策■
(商品別シェアーの改善に向けて)
女性の30代から40代対応の婦人・子供服、洋品雑貨系の商品群及び文化品群の強化による吸引増大策
駅前立地の特性を生かした文化品、最寄品及び飲食サービス系の充実強化での補完吸引増大策
駅前から半径300M程内(徒歩5分以内の距離)の公益施設、緑地公園、寺を活用した市民共催のイベント計画や文化的資源の特性を活用した環境整備策
●シナリオAのサマリー(表と図)
●シナリオBのサマリー(表と図)
●シナリオCのサマリー(表と図)
なお、事業化を検討する施策基盤となる対象商圏シナリオのうち各案の実施に当たっては、特にB案とC案の実施に当たっては、駅勢圏中心の商業活性化に向けて、社会的・文化的・生活的環境基盤の整備を、公民パートナーシップによる役割分担のもとに協調して活性化整備機構などのデベロッパー機能を構築し、これが事業の主軸となって、計画的かつ柔軟に実行しようとする方策が有効であると思われます。
この場合、整備機構には地方自治体の出資を柱に企業市民、市民有志、公的開発組織等の出資を求めて公益法人となり、自己資本を大きく確保し、地域に貢献する商業機能の管理運営技術の確保はもとより、社会的・文化的・生活上の環境基盤、都市型住宅等の市民生活サービスを計画的に建設整備し施設運営を行おうとするものとなりましょう。
次の段階で、これらの具体な効果分析及び検証を行い、仮説検証並びに設定シナリオの是非を詳細に検討し協議を深めてゆくことになります。
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