活性化構成員の集団化と情報化水準1

 商店街の活性化に向けた様々な活動には、ソフトな面とハードな面があります。ソフトな面の充実が伴わなければ、ハードな面、すなわち商店街施設や付加機能をいかに整備しても活性化の成果は決して高くないのはいうまでもありません。もちろん、前章までに述べてきましたように、ハードな面にもコンセプト作りや計画上工夫すべきことは多くあります。しかし今のところ、強い商店街の組織化に関する成功例はあまり多くを見ることはできません。今まで、活性化の試みに見られるおおくの事例にも投資の割に低い成果しかなかったり、あっても継続的な成果が得られにくいことが観察されます。

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 商店街なり地域なりを構成している人々が、一定の目的のために結束して、あたかも一つの先端的な企業のように活躍したとしても、なお難しい時代の背景があることはよく知られている所ですが、これをよくかみしめて具体策として組み上げていける地区は大変少ない状態のように思われます。そして具体策を実現し成功した商店街はさらに少ないものと思われます。
 しかしながら、中心市街地の活性化はあくまで集団として機能するようにならなければ、あり得ないことも解っています。どの様にすればこれが解決するのかが極めて重要な要件と思われます。

ⅰ)集団化に関する一般的な遵守事項
 先述したことですが、まず商店街が集団として力を発揮できるために一般的に遵守しなければならない事項は以下の通りです。

 (1)商店街を繁栄に導くという共通目標の成立
 活性化の原動力は商店街構成員の意志や願いです。繁栄に導くのは必ずしも商店街のためだけではありません。現代の商業は特定の利益だけでは永い繁栄は困難になりますし、顧客である市民の利益が図られる背景づくりこそが商店街や商店の繁栄を下支えすることは自明の理です。このような意味の集団化目標の成立がなりより重要なことです。

 (2)個別商店よる相互依存性の認知
 中心市街地を構成する商店街は、中心市街地を形成するあらゆる構成員の相互依存性の認知が必要です。特定の利益が先行する判断をとることは商店街立地を喪失することです。全体の繁栄があって商店の繁栄が得られます。この当然のことを周知徹底する手法が工夫されなければなりません。むしろ認知することを徹底するのではなく、具体的な徹底事項を認知してもらう(exe.業種業態別シェア分析を構成員討議によって実施し、その中で商店街MDを討議の上立案し、最も興味のある家業のような自己店舗である各業種別個店別の目標を商店街全体として決定する過程の)中で相互依存性の重要性を認知する風土の育成が重要でしょう。

 (3)商店街における役割分担の徹底
 商店街の集団として、企業のように一致団結して活動するためには、集団化目標の次に重要なことは役割分担の具体化です。在来は理事長、理事、そして部会長というように、一定にヒエラルキーに支えられた組織づくりが一般的でした。しかし、最近では、複雑系の科学が提唱されるようになって、ヒエラルキーではなく、頂点を持たない機能的な分化、いわゆる「ヘテラルキー」としての組織づくりが重要といわれています。情報に一番近い存在が権限を有するようにした方が激変する与件に対応が容易であり、的確な対応が可能になって目標の達成率が高いことが理由になっています。
 消費者に常に接触し、その意向を肌に触れて熟知する立場にいる商店主の情報をもとに活動し、かつ、効果的に商店街の目標達成にあたる組織づくりがつまりヘテラルキーな組織が目標になるでしょう。

 (4)商店街貢献に対する価値尺度の成立
 今は、商店街や商工課がしてくれるということではなく、商店主として何ができるかということが問われる時機になっています。このとき商店街はこの価値尺度を具体化する必要があります。この価値尺度は概念的ではいけません。具体的な尺度はソフトとハードに分けられ、さまざまな具体的事項の策定や分析プロセスを通じて徹底を図り、事後においても成分化したり修正したりすることによって成立を図る必要があります。その具体的事項の策定や分析プロセスとは、たとえば、MD策定の討議、MD政策の分担方針の討議、顧客サービスの基本条件の設定、市民との双方向の交流方針の具体化、イベント催事の設定や実施計画策定、再生の投資規模決定、行政との交流など、さまざまです。これが商店街の一つの伝統と性能を表すことになります。

 (5)良好なコミュニティ(仲間)意識の確立
 このようなプロセスを適正に実施することができる商店街はむしろ恵まれた商店街かも知れません。実態は、言うは易く行うは難しでしょう。でも商店街の活性化はこれなくしては困難です。時間がかかるか短時日で達成できるかの差はあってもどうしてもたどらなくてはならない道です。段階的な展開を図るとしたらまずこの必要性を論じながら仲間意識の確立を徐々に図ることになるでしょう。インターネットによるOO商店街電子会議室の開催(当所の技術支援システム)も時間のない商店街におけるモラルの向上や市民との具体的な交流に役たつイベントになります。

ⅱ)新しい組織化に関する留意事項
 あたかも無秩序でフラクタルな展開を見せる社会現象の中にも、隠された秩序に発展する可能性のある切り口が見え隠れします。無秩序でカオスのような動態のもとにある商店街づくりやその活性化策の背景に対する対策には、無秩序を秩序に変えるような役割が必要になります。

 今までのように(もちろん、様々な変化を内包はしていたものの)階級的な構成がはっきりした生活圏があり、順序よく整然と構築されていた商勢圏に対する対策の場合には比較的明確であったものが、今のように下克上というかGMSにとっては戦国時代になった商勢圏の状態の中から、一般解を導き出すのは大変難しいように思えます。しかし、立場を変えて新しい時代をみると必ずしもそうではないように思えます。決して恐れすぎてはいけません。

 むしろ当然のことですが、6章で述べたようなあらゆる調査を行い商勢圏の中身を知り、その主役である市民の価値観の変貌を知れば、この時期こそ好機なりという考えが本当だと思います。
 ただ、時代の背景にあるエネルギーの基本波動(例えば統合のエネルギーとか、理念のプロトコルによる統合、具体化、組織化等)が変化していることに気づいて対策することは重要です。このような視点からは、その一つの事例である自己組織化(今、進展し始めている概念的展開)の活用が大切だと思います。後述することになりますが、主だった視点は以下のようです。

 (1)情報を有効に波及する小さな組織化
 パイロットは自分の近くにいるものに対して優先的に調整し、鳥が群をつくって飛ぶように情報に最も近いパイロットは結果として全体的な調整を行う。米軍のパイロットが地上からの指示がないとき互いの行動を調整するようにこの手法を取り入れている。これが情報を持つものが調整権限を有する自己組織化システムといわれる。大きな組織の内部の部分組織は直接に情報とつながっていないので、全体に与えられるエネルギーは低い。つまり物理的に情報に近い個人が隣の組織に情報を伝えこれが波及して全体の動きが調整されるという組織化方針である。

 (2)受け手本位の情報化
 受け手本位のコミュニケーションは、あるシステムが内部で起きる動きを調整しようとしているか、そしてお互いに何が起きているか知らされているとすると、情報を受け取った側はこれからどうするかを決定するのに情報を利用する。そしてこの情報の受け手は、チーム全体の最終目的に近づく様にその決定を行う。この受け手本位の情報が全体にとっての最適化を導き出そうと自律調整の働きが生まれてくる。最適化の自律調整には、眼前の変化に対する正しい理解が必要であって、常に今何が起きており、今起きた現象が全体にとって何を意味しているか瞬時に理解することが可能なように訓練されている必要がある。

 (3)組織の固有行動と自然浮動
 a.作動上閉じたシステムは総て固有行動をとる
「システムの閉じ」を特定することによって自律的な個体が持っている内的な固有行動を理解することが可能になり、自己組織化行動の誘発が可能になる。この特定を有効にするために比較的小さいシステムが有効である。
 b.作動上閉じたシステムは自然浮動によって変化する
商店街の組織システムに十分な構造の可塑性があれば、その固有行動の様相は多様且つ複雑であり、1つの固有行動から別の固有行動への変化の経路は、制約されはするが1つには特定されないだろう。即ち自然浮動が存在する。商店街の活性化には適正な自然浮動が行われるよう構造体の可塑性について検討を要する。

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